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【米国債】新NISAでの買い方と注意点

こんにちは、CIOです。
今回は、新NISAを利用した米国債投資というテーマでお話しします。
米国債は、引き続き歴史的な高利回りとなっており、魅力的な投資対象となっています。
今回は、どうすれば新NISAで米国債に投資できるのか、おすすめの商品、投資タイミングを解説します。
🔽動画はこちら


【NISAで米国債は買える?】


まずはNISAを利用して米国債に投資する方法です。
NISAの対象は上場株式と投資信託のため、米国債への直接投資(生債券)は対象外となります。
NISA口座で購入できるのは、米国債に投資している投資信託のみです。


具体的には、日本上場の米国債ETF、投資信託、米国上場のETFなどです。
NISAで投資すると、分配金と売買差益のうち、日本での課税分が非課税となります。

【注意点】


NISAで米国債に投資する際の注意点は大きく2つあります。

一つ目は円高です。
こちらは国債に限らず全ての外貨建て資産に共通しますが、NISAの場合には特に注意が必要です。
NISA口座では損益通算ができないため、損失が発生すると課税口座よりも実質的な損失が大きくなるためです。
(損益通算:利益に対する課税から損失の分だけ控除できる制度)

こちらは米国ETFなどでドルでの運用を続ける場合でも同様です。
やや複雑ですが、日本での税制上の損益は日本円に換算して計算されます。
仮にドルベースでは利益が出ていても、売却までに円高が進んでいると、円建てでは損失が発生するケースがあります。
課税口座であればこの損失は損益通算の対象となるため、実質的な損失は少し小さくなります。
NISA口座だと損益通算の対象外となってしまうため注意が必要です。

もう一つの注意点は、米国での現地課税です。
過去にもお伝えしておりますが、米国債の投資信託(ETFを含む)から得られる分配金は、米国で10%課税されたのち、残りの分配金の約20%が日本で課税されます。
NISA口座で非課税の対象となるのはあくまで日本での課税分のみです。
米国での現地課税10%は免れませんので注意が必要です。

これは日本で上場する米国債ETFや投資信託でも同様です。
日本の商品の場合、分配金への課税は日本でしか行われません。
しかし、分配金の原資である利子が米国から支払われる際に、現地で課税されています。
日本の商品の場合現地での課税が目に見えづらいですが、NISA口座で投資をしても現地課税は引き続き行われるため注意が必要です。

【譲渡益の方が有利】

税制面を考慮すると、米国債投資では売買差益(譲渡益)の方が有利です。
配当所得と譲渡益が同額である場合、譲渡益の方が税引後の利益が大きくなるためです。

先ほどご紹介した現地での10%課税は、あくまで分配金(配当所得)にかかる税金です。
譲渡益については現地課税がなく、通常日本での20%の課税のみです。
NISA口座で米国債に投資する場合、分配金は10%の課税、譲渡益は全て非課税となります。
よって、分配金と譲渡益が同額の場合、税引後の利益は譲渡益の方が大きくなります。
米国債というと高い利回りが魅力的かもしれませんが、税制を考慮すると譲渡益も狙うべきだと思います。

【譲渡益なら長期債】

ここからは税制上有利な譲渡益を狙う方法という点でお話しします。
米国債の中でリターンに大きく影響するのは、短期債、中期債、長期債など、どのような残存期間の商品を狙うかです。
最も大きな価格上昇が狙えるのは長期債です。

債券は、金利と価格が逆方向に動くため、金利が上昇すると価格は下落、金利が下落すると価格は上昇します。
この際、残存期間(デュレーション)が長いほど、金利変動による価格変化が大きくなります。
よって、同じ1%の金利低下でも、短期債より長期債の価格が大きく上昇します。
あくまで購入後に金利が低下することが前提ですが、より大きな譲渡益を狙うには長期債がおすすめです。

注意が必要なのは、価格変動が大きいということは、その分リスクも大きいという点です。
この2年間の急速な金利上昇により、特に長期の米国債は歴史的な暴落を記録しています。
例えば、米国の長期債ETFで代表的なEDV(バンガード超長期米国債)は、ピーク時から50%近く価格が下落しています。
比較的リスクの低い国債では、かなり大きな下落といえます。
今後の見通しについて正解は分かりませんが、5%まで上昇した米国の長期債利回りは、ある程度ピークに近いというのが現在の市場予想です。
今後は長期的に金利の低下、すなわち債券価格の上昇が期待できますが、長期債は価格変動リスクが大きという点は覚えておく必要があります。

ちなみに今回のテーマからは脱線しますが、よりリスクを抑えたい方は短期債のETFなどが候補になります。
長期債とは対照的に短期債の価格変動リスクは小さいです。
また、近年の急速な利上げにより、短期債の利回りも上昇しています。
価格変動リスクは抑えて利子収入(ETFの場合は分配金)を得たいという方は、短期債の方がおすすめです。
 

【債券投資のタイミング】

最後に、債券への投資タイミングについてです。

現在の米国金利は16年ぶりの高水準であり、少なくともドルベースでは歴史的なチャンスだと考えています。
先ほど長期債ETFが大きく下落したとお話ししましが、言い換えれば割安になり、今後の上昇余地が大きくなっています。
NISAを活用してこれから債券投資を始める方にとっては、最適なタイミングだと思います。
リスクの小さい米国債であっても、利回りが4〜5%と非常に高いのは魅力的です。

当然ですが、さらなる金利の上昇や円高などリスクは残ります。
リスクをなるべく小さくするためには、株式同様、投資時期の分散と長期保有が大切です。
現在非常に高い米国金利も、長期的には下落が見込まれており、反対に価格は上昇する可能性が高いです。
少しくらい価格が下落しても動揺せず、長期保有を心がけるべきだと思います。

ちなみに、たまにご質問をいただく日本国債についてですが、現状は金利(利回り)が低く投資対象として魅力的だとは考えていません。
また、少しづつ金利の上昇が始まっており、価格の面では下落方向にあります。
個人向け国債は元本保証がついていますが、直近の変動金利10年物は税引前の利回りが0.6%と低いです。
3%近いインフレ率を考慮すると、現金よりは良いかもしれませんが実質的にはマイナスとなります。
為替リスクがないなどのメリットはあるため、今後金利が上昇してくれば投資を検討する予定です。


今回は、新NISAを利用した米国債投資についてお話ししました。
米国債の実践的な内容(今後の見通しなど)はこちらの動画で解説しております。

また、冒頭でお話しした新NISAの注意点については、こちらの動画で詳しく解説しておりますのでぜひご覧ください。

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(参照)
https://www.rakuten-sec.co.jp/web/support/tax/details/foreign-us/#:
https://www.tokaitokyo.co.jp/kantan/products/bond/knowledge/system/duration.html

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