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DIC川村記念美術館美術館① コレクション展(2023/3/25)
千葉県に長いこと住んでいるのになかなか行く機会がなかった、DIC川村記念美術館。
つい最近、「ほぼ日」の「常設展へ行こう!」企画を読んで俄然行ってみたくなり、折よく面白そうな企画展もやっていたので、3/25本日、家族を誘って行ってきました。
駐車場出てすぐの売り場でチケットを買い、案内に沿って歩道を降りていくと、そこここに噴水が配された広大な池と、それを抱く見事な庭園が広がっていて思わずため息が出てしまった。こんな山奥によくもまあこんな別天地をひらいたものだなあ……雨模様だったのが本当に残念。晴れの日にまた来てのんびり散策したいな。
館内も、エントランスからしてもう素敵。淡い色味の幾何学的なステンドグラスや白菊のような意匠の丸天井、ガラス戸から見える中庭の緑も美しくて、本当にここ日本なのかなと思ってしまった。
館内撮影不可なのが悔しいくらい、通路も展示室も、ピクトグラムまで隙なく美しい建物でした。
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品よく可愛らしいのでつい買ってしまった。どこにつけよう。
そうそう、着いてから知ったのですが、常設展の音声ガイドが無料アプリであるんですね。抽象画や現代美術のコレクションが豊富なので大いに助かりました。
印象に残った作品(常設展)
ジョセフ・アルバース「正方形讃歌のための習作:グローイング」&サイ・トゥオンボリー「無題」
今回、常設展の中で一番印象に残ったのがこのふたつ。
液晶やパンフレットで見た時はあまりピンと来なかったんだけど、実物を見ていると静かに気持ちが落ち着いていくようでとても沁みた。グレーと明るいグリーンの色味の調和。波のような、雨の日の水たまりのような動きのある静けさ。ずっと眺めていたくなる絵たちでした。(「無題」とセットの彫刻の方はよくわからんかったけど……)
カジミール・マレーヴィッチ「シュプレマティズム」
こちらも事前に液晶で見た時と実物とでかなり印象が違った一枚。カーブ部分にうっすらと配されたエメラルドグリーンのハイライトがすごく綺麗だった。
潔いエネルギッシュなフォルムと、ごくごく抑制的で繊細な煌めき。これ何描いた絵なの? なんでこんなの描いたの? という御託を飛び越えて、シンプルに素敵だったなあ。
「抽象美術の誕生と展開」ゾーンの作品はどれも「なんだかよくわからんが色や線や形がなんか好き!」という作品ばかりで、見ていて楽しかったです。
ジョルジュ・ブラック「マンドリン」
一見何が何だかわからん絵なのに、音声ガイドの解説を聞くうちにあっここが本体! で、ここが弦!? おお!!と徐々にマンドリンが見えてくるのがアハ体験みたいで楽しかった。キュビズムってほんと理屈で構成されてるんだなあ。
わかんなくても画面がオシャレでかっこいいので二度美味しい。
ジャン・アルプ「臍の上の二つの思想」
ブロンズ彫刻作品。めちゃくちゃキュートで和みました。滑らかなおへそとそこに還りたがってるようにモニョモニョしている「思想」。
思想というにはあまりに頼りなくていとけなくて、かわいすぎる……
ルネ・マグリット「感傷的な対話」
こちらもかわいかった! マジックアワーの柔らかな夕焼けの色味といい、囁き合う二人(?)の所在無げな佇まいといい、素朴な筆遣いといい……どこか不穏なものを感じさせつつ、つい微笑まずにはおれないかわいさ。
(殺伐とした隣のヴォルス作品を見た後だったからなおのこと和んだ)
マックス・エルンスト「石化せる森」
昨年「自然と人のダイアローグ」展で見た「石化した森」がとても印象的だったので、今回別の作品が見られて嬉しかった。
背景の空の柔らかく神秘的なグラデーションと、超然的な真円の月?のコントラスト、金色の森の物質感。吸い込まれるような静けさに、実際の夜の森に相対するような畏怖を覚えた。ポストカード買ったけど、これは実物じゃないとだなあ……。
その他雑感
当館のウリのロスコ・ルームは、密室であれだけの色に取り囲まれるとちょっと息の詰まるような感じがして怖かったな。圧がすごくて逃げ場がないというか……。
レンブラントの「つば広帽子の男」も、ものすごい技量で描かれた(おそらく)すごく偉い人とサシで向き合う感じでなかなか圧倒されてしまった。
同じように一室一枚のジュールズ・オリツキー「高み」は、絵の左右に開けた窓から見える森と、絵に描かれた空(たぶん)の連続性、取り合わせが爽やかでとても心地よかったなあ。
順路のあちこちにトイレが配置されていたり、常設展前半のキリのいいところで一息つける茶室やベンチが用意されていたり、オシャレなだけでなく見る人のことを考えた作りになっててよかった。
茶室から見えるお庭がまたいいんだ。企画展コラボの練り切りもうつくしくて美味しかったなあ……。
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企画展和菓子のセットで1000円。素敵な時間でした。
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(係の方に確認したら茶室内のみ撮影OKとのことでした)
とりあえずこんなところかな。
企画展「芸術家たちの南仏」展の覚書はこちら
→https://note.com/cinita/n/n5ac6c7cc36b4