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これから、"シネマぞ"、をみる。/映画編#0


こんにちは。2020年度から2022年度まで、およそ3年間?に渡ってシネマぞの広報を務めたイシヅカです。
今回のこれからシリーズは、最初で最後の、番外編。3年間の広報活動において、僕が行った戦略展開と、そして僕が行えなかったことを詳細に記します。いわば3年に渡って僕が演じてきた広報活動の、ネタバラシをします。

2022年度生明祭も終了し、学部生として最後の文化祭を終えたちょうどこのタイミングで、ひとつの文章を書こうと決めていました。少し長くはなりますが、きっと僕がここに書く最後の文章になるでしょう。それに免じて読んでいただけると、嬉しく思います。

さて、話は3年前。僕が広報職を受け継いだ時点にまで遡ります。

●2020年度の悪夢とその後

2020年度、シネマぞは大きな危機を迎えていました。コロナ禍の到来です。これによって【撮影企画の中止】【新歓の難航】【活動の停滞】といった複数の悪夢が幕を開けます。さらにこれらのアクシデントはそれぞれが連鎖しており、敢えて言えば2020年度時点でサークル活動の継続に暗い影が落ち始めていました。

そうした悪夢から目覚めるために、広報として僕は大きな改革に着手しました。それは──体よく言えば──サークルの方向転換であり、──身も蓋もない言い方をすれば──サークル理念への介入でした。

少なくとも僕が入部した2019年度の段階で、シネマぞは映画好きがゆるく楽しむエンジョイ系のサークルでした。少数でありながら、同期の絆は深い。先輩たちの背中を見ながら抱いたのはそうしたイメージでした。
しかしコロナ禍でオンライン授業が基本となり対面活動が停止した結果、まず偶発的な友人作りが消失しました。次に部室で無駄話をする時間が消えました。やがて学科違いの友人と出会えなくなりました。そして、サークルとしての活動がゆっくりと、確実に壊死していきました(少し過剰な表現ですが、実際ゆるやかな死=廃部を迎えたサークルは星の数ほどあるでしょう)。

このままでは、確実にシネマぞがなくなってしまう。2020年度以降、僕は疑念を強めていきました。その帰着が、"映画"サークルという枠を拡張して、映画から様々なコンテンツに接続する路線へ変更する決断でした。もっとも、この戦略は事実上広報の独断専行と強権の上に成り立ったもので、幹事長に一切の責任はありません。

2021年度に入り活動の可能性が見えてくると、上記のテコ入れを本格始動させました。といっても、まずは広報Twitterの多角化から。以前主軸にしていた諸活動の報告に加え、映画やドラマ、音楽といった多種類の話題を突発的に投稿するようにしたのです。大きな狙いは、文系キャンパスからの部員確保にありました。撮影企画や仲良しグループでの活動が難しくなった以上、新たな外部から部員を連れてこなければならない。僕は文系キャンパス生に狙いを定めました。それも、漫然とサークルを探しているのではなく、映画や音楽、何かしら特定のジャンルへ強い関心があるような新入生に。
そうした新入生を確保することで、撮影企画に頼らない活動が持続出来る他、より意欲的な理系キャンパス生も囲い込める。僕はそう考えました。

Twitter運用を始めて1年、2022年度に入りようやく戦略が実を結びはじめます。Twitter経由で存在を知ってくれた方(文理どちらも)が増え、互いをよく知らないけどとりあえず同期が何人もいる、な状況となりました。
対面活動の漸次再開もあいまって、2022年度は積極的に多様なイベントを企画し、横断的な活動がいちおうは実現していきました。このnoteが軌道に乗り出したのも同時期。和泉キャンパスの映画サークル鵺に宣伝をかけることで、鵺経由でシネマぞを認知してもらう機会も増えました。

当初noteの運用は、Twitterに書ききれないような活動記録の詳細を残す目的がもとでした。関心のある誰かが検索した時に、サークルの雰囲気がなんとなく掴めるように、です。
ところが色々やっていくうちに、どうもサークル内部のひと向けにいろんなコンテンツを紹介する記事の方が評判が良いと分かってきました。"これから"シリーズはこうして続いていきます。(実は最初から『これからシリーズ シネマぞ編』を最後に書くと決めていました。タイトル回収。)

これからシリーズを始めた背景には、映画サークルが陥いりがちな問題がありました。映画というコンテンツは鑑賞した数によってなんらかの価値判断が出来てしまう構造があり、その為どうしても教条主義的かつ内輪的な空気が生まれやすい。ゆえに、これを見ようあれを見よう、ではなく、面白いものはこうしたら見つかる、これはこういう楽しみ方がある、といった道標を打ち込む内容にしたかったのです。

●Twitterの運用

種々の広報活動において、僕が最も注意深く行ったのはTwitter運用でした。
対面でひとを引っ張れない以上、ネットの海から掬い上げる他ない。そう考えて、まず明確にターゲットを絞りました。上に書いた通りですね。その上で、心がけたのはひとが見える投稿でした。

他のサークルの広報アカウントといえば、イベントごとの告知をするばかりで、リプライを飛ばすのもまれ。わざわざ検索してやったきた人が見てもなんにも面白くないものばかりでした。じゃあ初めて来た人にもわかる内容にしよう、と。
だから意図的に属人的な投稿を増やしました。サークルにいるのはこういう人間で、こういう思考をしている。こういうコンテンツが好きで、専門用語をたまに使ってるけど少しわかる。そうしたラインを反復横跳びするような投稿を。文体も同様で、とにかく敬語。入部希望や質問のDMには無限に親切に接しました。だって怖そうじゃないですか、広報アカウントの中の人。

こうして【属人的な、ひとが見える投稿】【活動報告以外のつぶやき】【学年問わずとにかく丁寧に対応】を貫き続けていきました。どれも、他のサークルがやっていないことだと思います。
どんな課題でも重要なのは、目標を設定し、狙う層を意識し、他人がやっていないことをフルスロットルでやる。これだけです。

●今後の課題

こうして書いていくとまるでバラ色の歴史ですが、それは誤解です。僕がサークルに大きなメスを入れた結果、いくつもの綻びが生じてしまいました。
大きな問題1つ目は、広報職の負担集中。20年度以降僕がほとんどの工程をワンオペで詰め込んでしまった関係で、広報職の仕事内容が膨れ上がってしまいました。来年度以降は広報職の業務細分化&新たな役職の新設による分担を行うべきでしょう。各役職の詳細なマニュアル化も。後日担当者と相談します。

2つ目、撮影企画の再開。コロナ禍以降、原理的に撮影できない期間があった影響で撮影のノウハウが完全に保留されてしまいました。のちの非撮影企画充実も拍車をかけています。これについては、僕ともう1人撮影経験のある現B4は院進するため、最悪は後続の希望者に伝えられます。

3つ目、イベント時の会計処理。機密に抵触しかねないので詳しくは書けませんが、こちらも要相談。

4つ目、企画立案の多様化。今年度は僕を中心に4年生が主に企画を立案→日程調整→場所確保まで行っていました。が、本来企画立案は誰からでも受け付けており、その辺りのルールを改めて整備する必要があります。新部署の件も含めて、要相談。

最後の5つ目、サークルとしての方向性。この3年間を経て、ある程度バラバラに似た関心があるひとたちが集まるコミュニティは作ることが出来ました。が、外部を志向しすぎた結果として横の繋がりが先代より薄くなっているのも事実。
人数確保のための入り易さとコミュニティ維持のための盛り上がりは微妙な釣り合いで、半ばトレードオフである。僕が3年間の広報活動で学んだ経験です。今後、2019年度以前のような体制に戻していくのか、それとも20年度以降の体制へ舵を切るのか、もしくは両者のハイブリッドを模索するのか、いまはまだ分かりません。次年度から皆さんがゆっくり考えていくことでしょう。どのような選択をするにせよ、現4年生はすべてを見守りますし、最大限のバックアップを約束します。

●これから、”シネマぞ“、をみる。

幸か不幸か、この3年間でシネマぞは大きく変わりました。20年度以降広報を軸に展開した大幅な改造はあくまで延命措置に過ぎず、それを持続的に回せるだけのシステムは未だありません。これが僕に出来た最善策であり、同時に限界でした。
2023年度以降のシネマぞがどうなっていくのか、全く分かりません。でもそれは、僕が2018年度以前のシネマぞがどうだったのか知らないのと、実は相似形なのです。

変化を躊躇わないでください。素晴らしい思い出が、皆さんをきっと待っています。

これまでのシネマぞに。
僕らのシネマぞに。
これからのシネマぞに。

すべてのシネマぞに、幸あれ。

おまえはいつだって言ってるんだ、「さよなら」を。いつだって、どんな時だって。なぜなら、それが人生だから。長い長い「さよなら」なんだ!「さよなら」から、「さよなら」へ、そうしていつか、最後の「さよなら」へ辿り着く。それは自分自身への「さよなら」だ!

テネシー・ウィリアムズ『ロング・グッドバイ』


2022.11  2020〜22年度広報 イシヅカ


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