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『82年生まれ、キム・ジヨン』:感想編

ハイ!観られた方、どうでした??

ツラかったですねー!序盤の実家帰る帰らないのクダリ、「俺が映画館出てもう帰りたい!!」って思っちゃうくらいキツかったですねー!!

とりあえず、

男でごめんなさい。

って感想以外出てきません・・・

・・・って自虐的な笑いにするのも、男のダメさだなって思ってみたり。

いやぁ、予期せずズシンと来る映画でした。

とにかく、

「私たち、疲れてるんです!!!」

ってね・・・。

もうキムジヨンのお母さんからおばあちゃんから上司の女性まで、みんな疲れてましたよね。そりゃそうですよ、キムジヨンのお父さんから、会社員時代のエライさんから、旦那の同僚までみんな、女性に対する認識が、「ザンネン」じゃないですか。そりゃあ女性たちは「ハァ・・・。」って溜息出ちゃいますよね。

でもこの映画ですね、ある特定の「ダメな男たち」による、“女性の生きづらさあるある”の映画じゃあない。もっと普遍的な「男たちのダメさ」の話だから、ヤッカイで根深い問題なんですよね。

だってお父さんにも旦那さんにも、キムジヨンに対する愛があるし、旦那の同僚たちもフツーにいい人たちですもんね。

特に旦那さんは一生懸命キムジヨンを心配して、なんとか状況を打開しようと真摯でした。でも(実家のクダリでは特に)やることなすこと不正解だった。もう、真摯に間違ってましたよね(笑)。その辺りのキムジヨンを演じたチョン・ユミの、苛立ちと諦めの混ざった表情はグサグサと胸に刺さってきましたけど、そう言う僕自身もかつてはそういう表情に気づけなかったですし、なんなら「日々会社で精神すり減らして生活費稼いで、家庭では嫁と姑の間に入って気を遣って、その上家事や子育てまで50/50を求められるなんて、男って損!!」なんて思ってましたからね。それを思うと、キム・ジヨンの旦那さんは随分マシな方の男だったんじゃないかなと思います。

てことはキム・ジヨン、そんな旦那なら捨てちゃえば?で済む話じゃない。ある特定の「ダメな男」を罰したり排除したり啓蒙したりで解決する問題じゃないんですね。それがとてもヤッカイ。

「グヘヘへ、男の方がエライんじゃ!女は黙って家事と育児と性を提供してろ!!」って言うモンスターをやっつけたらメデタシメデタシって、そういう次元じゃない。そういえばこないだ、足立区の議員さんでしたっけ?LGBTQについて、「えっ!本気で言ってらっしゃるの・・・?」って暴言吐いてたニュースがあリましたけども・・。こういうモンスターは現実に存在するけど、こういう輩は死に絶えるまで待つか、ニュールールができて逮捕されるまで待つしかない。だって話通じなさそうだし。でもそれは司法や行政で議論されるべき話。

多くの女性が、それでも諦めずに闘うべきなのは、「もっと普遍的な男たちのダメさ」なんだろうと思います。なにをもって闘うべきか?政治や行政は見ての通りの体たらく。ネットやSNSでの市民議論はポジショントークと付和雷同の出来レース。だったらもう、あとは芸術や文化で闘っていくしかないんですよね。そういう状況の中、韓国映画界では女性監督がこういう映画を作って世に問いを立ててるのって頼もしいなと思いますね。日本映画界は、どうでしょうか・・・


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