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『ラストブラックマン・イン・サンフランシスコ』:感想編

ハイ、観られた方、どうでした?

エンドロールと劇中でかかってた曲『花のサンフランシスコ』、沁みましたねぇ〜・・・予告編でこの曲聴いて、それ聴きたさで観に行ったっていうのもありましたけども。

僕の周りではあんまり話題になってなかったですし、映画サイトの評価もあんまり奮ってないみたいですね。それもちょっとわかるような気もします。

主人公は住むところもなくて友達の家に居候してるって、可哀想な人ではあるんですけど、映画の中でやってること・やろうとしてることが、(事情はあれど結局は)「他人の家を自分のものにしたい」っていうのが行動原理になってるんですよね。そこにちょっとノリ切れないところもあるし、その主人公に対して立ち塞がるものがイマイチはっきりしない。それが不動産屋では敵役として小さいし、それが格差社会だと捉えるには物語のトーンがふわっとしすぎているような気もしました。主人公が何と戦って、どのように勝つなり負けるなりしたのか。そういう物語の「強度」というか「刺激性」みたいなのを映画に求める観客には、あんまり響かない映画だったんじゃないかなーと思います。

「不法占拠までしてその家にこだわりたいの?」って、多分それはもちろん、家って資産への憧れや執着ではなくて、自分という存在のアイデンティティやルーツの象徴として手に入れ、守りたかったんでしょう。そういう“拠り所”が失われていくことに対しての郷愁とかやるせなさを、じんわり感じるような作品だった気がします。

かつて日本でもバブルという狂った時期があって、わけもわからず土地が高騰し、“地上げ”という波に流されて住処を追われた弱き人たちがいました。そのバブルに踊った側にもそれが弾けて地獄を見た人たちがいましたけどね。

自分にとっての“ホーム”って、どういうもんですか?

僕は生まれ育った実家よりも、今のマンションが“ホーム”だなぁ・・・

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