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阪神・淡路大震災から25年、神戸の下町を舞台に経過する時と人々を描く『れいこいるか』いよいよ公開!

 今年の大阪アジアン映画祭で世界初上映されながら、コロナ感染防止のため、舞台挨拶やサイン会が叶わなかった『れいこいるか』。とはいえ、この夏公開が早々に決まったと思いきや、緊急事態宣言発令による映画館休館に突入。それでもこの夏、阪神・淡路大震災の被災者が、亡き家族を思いながら生きた日常を、ある意味軽やかで、そして味わい深く描くこの作品は、逆に他人と距離を取ることばかりを強調される今、むしろ観ていて癒される。

 ロマンポルノでも知られるいまおかしんじ監督が描く人物の面白さ、けったいさ、人間臭さがたまらない。飲むものもビールというよりは、もっぱら日本酒。昼間から立ち飲みできる酒店では、仮設仲間が集まり、懐かしがる。そんな神戸の下町の風情の中、震災下不倫中に娘を亡くした伊智子と、娘と自宅にいながら助けられなかった夫太助が、本当に思いをぶつけるまでの23年間が描かれるのだ。

 ちなみに私が驚いたのは、事あるごとに伊智子が、神戸弁、播州弁で有名な「だぼ」(ばかの意味)を連発すること。知らなかったら何?と思うような強烈な地元言葉だが、知っていると懐かしく、神戸の話やなとリアルに感じるのだ。変な人がいっぱい出てくる面白さ、その中で垣間見る本音や、人に言えない思い。多くの人に助けられ、見送りながら生きる年月が笑いも含めて、鮮やかに描かれている。ちなみに音楽は、『東京の恋人』下社敦郎監督が担当。途中、二人が劇的な出来事を経験している映像をその音楽だけで繋いでいくシーンには心底痺れた。エンディングのテーマ曲も昭和のフォークソング調で気持ち晴れやかに。一杯飲みながら観たいような、人情劇でもある神戸発のヒューマンドラマ。昼間からうれしくて飲んでたという、インタビューの時よりも饒舌だったいまおか監督の元町映画館舞台挨拶は、地元でまさに狼煙を上げた感じだったな。


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