『赫い髪の女』(1979年)

冒頭、宮下順子と、石橋蓮司の乗ったトラックがすれ違い、すれ違いざまに女の髪が風に乱れるところでストップモーション、タイトルが現れる。

建設会社の社長の娘(亜湖)が阿藤海と蓮司にマワされ、その後は阿藤にくっついて回るようになる。亜湖は妊娠している。

男同士の連帯と、男女の結びつきとの間の相容れなさ。
中上健次のテーマともいえる。
そこになんともいえぬ色気が生まれる。

阿藤は蓮司に宮下とやらせろと言い、蓮司は一度は断るが、結局は承諾する。
宮下を後ろから攻め、ドテラをかぶせて目隠しすると、阿藤が部屋に忍び込み、蓮司と入れ替わる。宮下はすぐに気づき、激しく抵抗。
こたつがひっくり返り、こたつの光ということで画面は真っ赤に。

いたたまれない蓮司は部屋から飛び出し、扉の外から宮下の抵抗の声を聞く。
「はじめはイヤヨイヤヨと言ってもだんだん……」
それはそうであってくれるなという思いが多分に含まれる強がりの言葉だが、宮下はしだいによがり声をあげる。

三輪車でアパートの廊下を走る蓮司。ショーケン的挙動。

パッと1秒くらい、次のシーンとなる画面をインサートする編集がうまい。
編集は鈴木晄。

蓮司は路上の壁にもたれて自慰にふけるところを三谷昇のアル中風なおやじに見つかり、その情婦なのか娘なのかよくわからない女・山口美也子の店で飲む。
三谷昇のせりふ「はるこちゃーん、はるこちゃーん!」が可笑しい。

売春婦の山口はさっそく蓮司にまたがろうとするが、「お前とやりたくてたってるんじゃない。好きな女が他の男と寝ていると思うと悔しくてたってるんじゃ」と蓮司は抵抗。
山口は「たってるもんにそんな分別あるか。よーし、いかせたる」と蓮司にまたがり、奮闘。
蓮司、あっけなくいく。
山口「男なんてみーんな一緒や」
二人のやってる姿に嫉妬してか、うずくまるアル中男の三谷昇。

蓮司が部屋に帰ると、こたつがひっくり返ったままで、宮下はいない。
宮下の残した口紅をなめ、ちんこに塗ってみる蓮司。
畳に落ちていた宮下の陰毛を見つけ、それを数度なめ、大事そうに鏡の金具にひっかける。
と、出て行ったと思っていた宮下が帰ってくる。
銭湯に行っていただけだった。
「あんたと離れとうない」と言う宮下。

二人のだらだらとした生活は続く。

階下に住むシャブ中女の発狂に宮下は怯える。
かつて宮下にシャブを打った前のダンナの影。


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