『エデン』(2001年)

2010年12月4日(土) 東京日仏学院

監督:アモス・ギタイ
イスラエル=フランス=イタリア/2001年/90分/35ミリ/カラー
出演:サマンサ・モートン、トーマス・ジェーン、ダフナ・カストナー、ダニー・ヒューストン、アーサー・ミラー

イギリスの委託統治下にあるパレスティナで、三人の男性に取り囲まれて生きるひとりの若い女性。共産主義の理想を追う、バウハウスに傾倒する建築家であるシオニストの夫、金儲けにしか興味のないニヒリストの兄、家族をナチスに殺された隠遁生活を送る書店員。彼らはいずれも、彼女の純粋さに応えることができない。原作は、主人公の父親としても出演しているアーサー・ミラーの小説「HOMELY GIRL」。
「シオニズム理想主義が最高潮に達した建国前夜の時代の渦中に、その理想を信じてパレスチナにやって来た英語が母国語のカップルを配置する。そのルーツは常に、自分たちの生まれ育った国に自閉的に結びついたままだ。だが彼女だけが変わる。一度は男たちに支配された世界のなかで居場所を失いながらも、彼女は最後に、独り、自分の尊厳を見いだすのだ」(藤原敏文)

(チラシの文章を転載)

カメラはレナート・ベルタ。
ファーストカットが美しい。
レンガを積む作業をしている男たち。
かなり寄りのカメラが、それを左→右に移動して捉える。

不安定な感じのサマンサ・モートンがよかった。
ラスト、戦地から帰ってきた夫から戦地で女をレイプしたと聞かされ、夫を捨てる。
その後、過去にいちど関係を持った書店員のもとを訪ねるが、彼は首吊り自殺をしていた。
街を歩くサマンサ。
街は映画内世界の時代に合わせたものになっているが、角を曲がると突然現代の街並みが広がっており、そこにサマンサは吸い込まれてゆく。
この終わり方は『エステル』に似ている。
悪くないけれど、『エステル』を既に観ていると、またか…という感じもする。

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