『プロミスト・ランド』(2004年)

2010年12月3日(金) 東京日仏学院

Terre Promise
監督:アモス・ギタイ
フランス=イスラエル/2004年/90分/35ミリ/カラー
出演:ディアナ・ベスペシミ、ハンナ・シグラ、アンヌ・パリロー、ロザムンド・パイク、ユーセフ・アブ=ワルダ、メナヘム・ラング

シナイ半島の砂漠のある夜、身体を暖めるための、ひとつの火に集まる男女の一団。東欧からやってきた女たちと彼女たちを送り出すベドウィン族だ。
翌日、売春組織へと売られる女たちを送り出すために、彼らはパレスチナに密入国する。
競りにかけられ、人手から人手に渡っていくディアヌと仲間たち。彼女たちはハイファのとあるナイトクラブに行き着く。
「『アリラ』に引き続き、不法滞在の中国の労働者や、フィリピンの家政婦、スラブ系の娼婦など「漂流を余儀なくされた人々」がひしめいている。ギタイはイスラエルを資本主義のグローバル化時代における大きな売春宿として描写している。映画の中で商品化され、国境や検問で受ける軽蔑を身にまとった身体の隷属の表現は、感情を無くした経済に征服された世界のメタファーとして現れてくる」
ージャン=リュック・ドゥーアン「ル・モンド」2005.01.12

(チラシの文章を転載)

ハンナ・シグラは、船の上で裸にされ、ホースの冷水で体を洗われ、安っぽく猥褻感あふれる服を着せられた女たちを化粧する謎の女役。
登場時間はごくわずかだが、印象的な役。
何度も泣きそうになる女の顔を押さえ、stop crying…を繰り返す。

英語字幕での上映だったが、それによるわかりにくさはほとんど感じず。
性的な話、女性の裸というのはすごいスペクタクルだという当たり前のことを再認識する。

夜の荒野で、顔や乳房や尻を懐中電灯で照らされ、競りにかけられる女たち。
まだ十代半ばのあどけない顔をした少女が、男に暗がりに連れ出され犯される。
少女の恐怖に満ちた顔。
月夜の映像に少女の悲鳴が重なる。

また、突然トラックを止められ、ひとりの女が引っ張り出され、無理やりにフェラチオを強要されるシーン。
強制されるフェラチオというのは、画としては強制される挿入よりショックが大きい。
それは私の個人的な感覚だろうか。

ナイトクラブ化している船に、客として西洋人女性が入ってくる。
娼婦の中のひとりが彼女に助けを求めるが、彼女は拒む、みたいなシーンがあったが、ここはセリフがよくわからなかった。

ラスト、彼女が閉じ込められている売春宿が火事になり、ドサクサに紛れて女たちは夜の街に逃げていく。

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