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またもや常識をくつがえされる

一時帰国からカナダに戻り、日常が帰ってきた。
日本の蒸し暑さや忙しさから解放され、澄んだ空気と穏やかな日々。

と思ったら、違った。

相変わらず同僚の一人は、私がケアをしている間も週末の話で盛り上がっている。ケア中に話しかけられると集中を欠くので、無視することにした。
薬や点滴の準備中や清潔操作中のおしゃべりは、日本の医療現場では当然厳禁だ。

さて、スタッフの一人が産休に入ったので、新しい看護師が採用されたとのことで、今日初対面だった。

ホームケアで働く看護師は、病院で働けないいろんな事情がある人が多いので、変人が来るだろうということは覚悟していた。

しかし、私が度肝を抜かれたのは、夜勤だというのに、今まで聞いたこともない大声で話すマシンガントークの看護師だったということだ。
ただでさえも、クラインアントは不眠だ。なかなか寝付けないことでてんかん発作が起きやすい。ベッドに寝かせた後は極力物音を立てないようにしていたが・・・

横になっている患者の耳元で大声で話しまくるのでびっくりして空いた口が塞がらなかった。
お母さんも、別に何も言わない。
来始めたばかりなので、とやかく言わないようにしているのだろう。

それにしても、声がでかい。
お母さんに、今朝の発作の状況を矢継ぎ早に聞く。
いや、まあ、お前さん、興奮しすぎだろう。
てんかん発作時は、あまりドタバタするとかえって次の発作を誘発してしまうのだ。

日本では、病院では静かにするものだと思い込んできた。
カナダでは違うのだろうか?

そういえば、日本は静かだった。
電車の中で話す人がいない。レストランも静か、飛行機の中も静か、旅館も外国人がたくさん泊まっている下町の旅館だったのに、静かで話し声ひとつしない。
私が、久しぶりの日本に感動して電車の中などでつい大声で何か話すと息子に「し、静かに」
とたしなめられる始末だ。

日本からカナダに着いた途端、人々は通路で世間話し、バスの運転手にThank youを言ったりやスーパーで譲り合ったりと、なんだかホッとしたものだった。カナダの人は暖かくて優しいなと日本との違いを感じたものだ。

それにしても、カナダの看護師はあんなにうるさくて大丈夫なのだろうか?
とりあえず、ベテランとのことで他の人も敬意を払っているようだ。
でも、あまりに声が大きいので本当に看護師なのか?疑ってしまった。
なにしろ、カナダには時々偽看護師がいる。

Canada Nurse Loud Voiceで検索してみたが、ネガティブな記事は見つからない。声が大きくてもいいらしい。むしろ声が大きい方が推奨されている様子だ。逆に、日本の記事で
「なぜ看護師はあんなに声が大きいのですか?」
などと聞かれている始末。

いや、好きで大声を出しているわけではない。
時々、耳が遠い患者がいて耳元で大声で叫ばないと聞こえないことがあるのだ。特に認知症の患者さんは、夜中に徘徊したり大騒ぎしてしまったりするので、病院であるということを説明するしかない。こっちだって、5分前のことを忘れてしまう患者に大声で同じことを説明するのはきつい。一晩夜勤した後は、声が枯れたこともある。

それはさておき、ナイチンゲールもカーテンの音や看護師の衣擦れの音さえ患者の耳障りになると書いているので、看護の基本としては看護師がうるさいというのはありえないことだと思うんだが・・・
カナダの看護学校ではナイチンゲールを学ばないのだろうか?
明日、同僚に聞いてみようと思う。


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