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カナダの不思議 ダブルブッキング文化

毎週、クライアントを連れて公共のプールに行きます。
クライアントは全身がほぼ麻痺していて、首をゆっくり動かすぐらいしかできないのでプールはリハビリや呼吸機能向上などにおいて、重要なアクティビティです。

さて、着替えとプール用の車椅子に移乗するためには、身障者用の更衣室を使用しなければなりません。そこには、シーリングリフト、更衣用ベッド、トイレ、シャワーがありとても広いです。クライアントは更衣に時間がかかるので、他の利用者とかぶらないように時間帯をずらしてプールに行くのですが、なぜかいつもほかのお年寄りが使っていて、知らずにドアを開けるとその先客が激怒します。

これが、とても不思議なのです。
なぜなら、身障者用の更衣室には鍵がかかっているので、使用する時はその都度鍵を借りることになっています。私たちは、受付で鍵を借りて更衣室を開けているのに、なぜかいつも先客がいるのです(ほぼ同じ方)。その方、気難しくて更衣室を開けられるととても憤慨します。

私は、とても不思議でした。だって、鍵を借りているのは私たちだから、先客がいるのはおかしいですよね。その人は、なぜ更衣室に入ることができるのでしょうか?

同僚に聞きました。
「なぜ、私たちが鍵を持っているのに、〇〇さんは先に更衣室を使っているの?」
同僚
「だって、〇〇さんも鍵持ってるから」

え?それ、鍵貸し出す意味・・・なくね?


複数の人に更衣室の鍵を貸し出すので、誰かが着替え中でも、外から開けることができます。更衣室を使い終わったら、その都度鍵を返すのかと思っていましたが、1度借りたらずっと借りっぱなしのようです。そもそも、更衣室の中には私物を置いておかないので、鍵を掛ける意味がわからない。鍵が開けっ放しのときもあります。

先客は、自分が使用中なのにドアを開けられたりノックされたりすると怒るので、鍵を持っている自分に使用権があると思っていることは間違いない。しかし、先客がプールとか他のスポーツ施設を使用中に、鍵を返却するシステムにはなっていないので、他の使用者が来るとその人にもロッカーの鍵が渡される。
なので、ダブルブッキングは必然です。身障者の方は大勢いるので、ダブルどころではなくトリプルブッキングもクアドラブルブッキングも起こりえます。しかし、みんなそれは疑問に思わない。けど、鍵開けられたら開けられた人は怒る。ちなみに、「使用中」の札はありますが、その人は忘れてしまうのかかけていません。

ますます鍵の存在意義がわかりません・・・
鍵いらないんじゃね?

不思議の国カナダからお伝えしました。



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