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禁断の高原 Forbidden Plateau / Vancouver島探検 その7

ハイキングには行きたいけれど、テントを担いでいくのはまだ無理な初心者の私。知り合いのIslanderに、おすすめの日帰りトレイルを聞いてみた。
紅葉のきれいな場所で、往復数時間。
すると、
「Battleship Lakeあたりがいいんじゃないかな。」
と、行き方を教えてもらった。

なんでも、Mt.Washingtonという、バンクーバー島唯一のスキーリゾートのそばにあるらしい。スキーの下見を兼ねて行ってみるか!

Mt.Washingtonは、Comoxの近くにある。うちからは車で2時間弱

美しい秋晴れで絶好のドライブ日和だった。
息子が学校を早退することに同意。
金曜の3、4時間目は自習らしい。なんと好都合。
(先生が早く帰りたいのか、家で勉強しないので学校で課題をやらせたいのか金曜は自習やビデオ鑑賞が多い)

ナナイモを抜けると渋滞なしのほぼ直線。スキーリゾートまではあっという間についた。聞いていたよりも道路のコンディションは良い。

意外とちゃんとスキー場だった
なぜか、人懐っこい鳥たちがお出迎え。というより餌をねだりに寄ってきた。
ハイキング客が餌を与えているようだ

本来、野生動物に餌を与えることは禁止されているはずなのだが、みんなお構いなしだ。

マーモットという動物がいるらしい。とても愛らしいし、絶滅危惧種らしいのだが

実は、来る時ハイウェイで丸っこい動物の死骸を見たのだが、鹿より小さくリスより大きい、茶色っぽい色。なんだろうと思っていたら、マーモットだったらしい。かわいそうに・・・マーモット、マイブームになりそうなぐらいかわいい!

これこれ、この感じを求めてたんですよ!

普通の温帯雨林とどう違うかって?
温帯雨林だと、昼でも薄暗く林床がシダ植物で覆われてまるでジュラシックパークみたいなんですが、ここは木がまばらで葉のついた枝が下まであってちゃんと緑なんです。

空の青と木の深い緑、グランドカバーの植物の黄色(逆光で白っぽくなっちゃってますが本当は結構コントラストが強い色)

この感じを求めてたんですよ!

紅葉は意外と少ない。針葉樹ばっかり
どうやら車椅子の人でも来られるようにトレイルのほとんどが木道で、階段にはランプがつけられている。
こんな感じ。数段連続でランプがある。

トレイル専用の車椅子は、事務所で貸し出しているようだ。
木道を歩いていると、先程の鳥たちが後をついてきた。何かと思うと、誰かが木道に餌を撒いているようだ。餌をねだってついてくるらしい。足には標識がつけられていた。

向こうから4歳ぐらいの男の子を連れたカップルが来る。
男の子「鳥に手から餌あげたことある?」
私「ないけど、さっき鳥が私たちの後をついてきたんだよ」
男の子「餌あげたい?」
私、"野鳥に餌をやってはいけないんだよ"・・・という言葉を飲み込んで男の子が取り出したかぼちやの種をもらう。子供の夢を壊しちゃいけないな。
両親が鳥を呼ぶが、お腹いっぱいと見えて飛んでこなかった。
鳥の名前を聞くと「カナダジェイ」あるいは「グレイジェイ」という名前らしい。この辺では普通にいる鳥で別のニックネームもあるらしいが忘れた。

木道を進んでいくと、お目当てのBattleship lakeに出た。

Battleship lake

杖やストックをついた白髪のハイキング客が多い。階段はあるがバリアフリーになっていてお年寄りでも歩ける場所らしい。

国立公園らしく、標識があちこちにあってトイレも多い。よく整備されている。このトレイルは小さなループだけでも6kmぐらいある。それが全部木道完備。アクセスしやすいからか、人が多い。金曜の午後って休日だったか。

息を切らせたおばあさん、
「黄色い椅子を見なかった?」
と他のハイキング客に聞いている。
椅子でも忘れてきたのかと思ったら、どうやら展望スペースに黄色い椅子があるらしい。
フランス語を話すグループが椅子を発見し記念写真を撮り始める。
この椅子に座って湖を眺めてリラックスしましょう、ということのようだ。

一人の黒人男性が
「君たちも写真撮る?」
と聞いてきたが、ジモティなので別に急いでいない。
「後で撮るからいいよ」
といい、岩の上でランチタイムとした。
慌ただしく写真を撮るのはこの場所にそぐわない。

さっきのおばあさんもハアハア言いながら登ってきた。
一グループ去るとまた別のグループが来る。
結局、ランチを食べ終わっても記念写真の波が止まらないので別ルートを歩くことにする。

ハイキング客は途切れないが、湖はとても静か
拠点拠点にトイレがある

ここは、Mt. Washingtonから続く高原で湖が点在する。日本で言えば、規模は違うが知床五湖みたいな感じか。

Forbidden Plateauという仰々しい名前がついている

なぜ"禁断の高原"なのか。なぜBattleship Lakeなのか。
気になる方は、調べてみてくださいね。

まだ日が高いし、暖かいので隣の湖まで行ってみることにした。そちら周りになると、あと4.5km歩くことになる。
普段からトレイルを往復4kmくらい歩いているので大したことはないだろう。息子は文句を言っているが。

湖そばのキャンプサイト。さすが国立公園、
お金がかかってますね
ここでキャンプしたら素晴らしいなぁ

すでに女性グループが何名かテントを設置していた。何組かのバックパックを背負った人たちとすれ違う。今日から縦走するのかも。

ヘレン・マッケンジー湖
トレイルヘッドに向かって戻って行きます

下り坂も木道が完備。
息子「カナダってこういうところにお金使いすぎじゃない?」
確かに、キャンプ場や公園、トレイルへの熱量が半端ない。
もっと医療費に使ったら?と言いたくなるが、箱モノを作るとはるかにメンテナンスや人件費でお金がかかる。自宅療養なら看護師や注射は不要なのである。病院を増やさないのも政策なのかもしれない。

小さな紅葉
Paradise Meadows

禁断の高原に、楽園の湿原とはなんとまあ詩的な名称なんでしょう。

夕焼けを見たいものですが、キャンプの準備がないので戻ります
水鳥はほとんど見ませんでした。標高が高すぎるのでしょうか?(1200m)
トレイルヘッドに戻りました。おなじみボットントイレ

トレイルを歩く人は、ぼっとんトイレに慣れなきゃね。私は、アルコールワイプとウェットティッシュ持参です。

Raven Lodge スキー場のロッジ。結婚式場もあってすごくおしゃれ
案内所の展望台から山を見ていたら、この鳥まで餌をねだりにやってきました

野鳥もこんなに慣れるんですね。この鳥はブルージェイの仲間のステラー・ジェイで、BC州の州鳥なんだそうです。

遠くに険しい山が連なっています

ずいぶん遠いと思っていたら、このトレイルの先に登山道があり1日から3日で登ってこられるようです。やっぱテントがないと無理ですね。でもいつか行ってみたい。

Mt. Washingtonからの眺め

眼下にComox、テクサーダ島、サンシャインコーストと背後の山々が見えています。

下山中、海に向かって坂を下る

バンクーバー島のハイウェイを制覇したので、島がなんだか小さく感じる。メインランドの山々は高い。
いつか、内陸のフィヨルドの奥の方まで行ってみたいものだ。

カスケード山脈

行き方がわからないんですがね。

■ おまけ
 帰りに駐車場で、男の子にもらった南瓜の種を手に乗せていたら、さっきのカナダジェイがさーっと飛んできて手のひらに止まって餌を持って行きました。ちょっと驚いた。

野鳥を餌付けしてはいけない理由の一つが、野生の環境で生きのびることができなくなること。もう一つが鳥インフルエンザなどの感染症リスクだ。
しかし、カナダの鳥インフルエンザは、アジアの高病原性に比べて病原性が低いらしい。日本では怖くて、鳥には触れなかった。色々あるんだなぁ。

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