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清潔に対する決定的な意識の違いー文化的背景によるー

同僚(元ナース)が「新しいミニタオル買ってもらったのー」と嬉しそうに畳んでいる。クライアントの顔拭き用のベビークロスだ。今までヨレヨレのを使ってたのが、日本でよく見る小さめのタオルハンカチみたいなかわいいタオルを10数枚。この人はとても几帳面なので、物品の整理整頓はばっちり。

早速シャワー介助のときに使用したのだが、てっきり顔用だと思ってたのに、同僚が同じタオルで陰部も洗いだした。「ん?」

私「顔に使ったタオルと、陰部に使ったタオルをどうやって区別するの?」
同僚「?」「柔らかいし、今まで使ってた布よりもいいでしょう?」
私「顔に使うタオルと陰部に使うタオルを区別しないの?衛生的じゃないよね?」
同僚「洗うから問題ないでしょ」
私「・・・」

私「日本の病院では、顔用タオル、体用タオル、陰部用タオルは区別されてるし、洗うときも別々ですよ」(日本では陰部清拭用のタオルは色がついていることが多い)
おかあさん、同僚「一緒に洗っても問題ない」

まあ、確かにお尻を洗ったタオルも顔拭いたタオルも、全自動洗濯機に入れてお湯で洗ってさらに乾燥機で乾燥させてしまえばきれいになるかもしれない。流石に匂いや大腸菌などは消え去るであろう。でも、気分的に嫌だ。
一応日本人の同僚に確認してみたところ、自分なら嫌だという。

ここは家庭だし、下着も靴下も区別せずに洗っている。(さすがに、大量の便がついたものはすすいでから洗っているけれど・・・)

つまりは、洗濯してしまえば全部きれいになる論理。
だから、スリッパやエプロンも一緒くたに洗濯機にいれちゃうのか!
以前のクライアントさんも、顔拭き用の柔らかいクロスを、体洗うのにも使っていた・・・

カナダのご家庭、洗濯物は色物と白物の区別しかしてない事が多い・・・全部つっこむ。ジャケット、セーターも靴なども洗濯機で洗ってOKのマークがちおているものがほとんど。枕も洗濯機で洗う。
施設では、便がついたものも下洗いもせずに一緒に洗濯機に入れて洗ってたし・・・なるほどねー

これは・・・文化的な清潔感の違いに起因するものか!と気づいた。

こういうことだ。
日本には属人器という文化がある。
箸やごはん茶碗は各自のものを使う。
たとえば、お父さん専用のお箸。いくらきれいに洗ってあっても、自分が使用するのは抵抗がある。なんか汚い感じがする。(お父さんゴメンナサイ💦)
洗って消毒もしてある。物理的化学的には汚くない・・・
でも、「これはお父さんの形見だからぜひあなたが使ってね」、と言われて使えますか?

お母さんが買ったショーツ。穿いてみたら、小さすぎたからあなたに上げるわ・・・
と言われて、ありがたくもらえますか?

いくらきれいに洗ってあっても、気持ち的に汚く感じる・・・
これ、日本人特有の感覚かも・・・
自分の下着と息子の臭い靴下は、絶対に一緒に洗いたくない!

ちなみに、患者さんの体を洗うときは、泡で包み込むように洗うようにとWOC(皮膚排泄ケア認定看護師)に指導されてきたので、私はけっしてゴシゴシ洗うことはない。お年寄りの皮膚はダメージを受けやすいので、ゴシゴシこすってはいけないし、泡で包むことで汚れが浮き上がってきれいになるのだ。こういう意識が浸透している日本の介護現場と、高齢者があまりいなかったカナダとでは介護のやり方も違うのかもしれない。泡で洗うほうがきれいなる・・・英語でそのメカニズムを説明するのは大変だ・・・無理。


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