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脊椎の手術も一泊入院

日本では信じがたいが、カナダでは実際にあった話。
同僚の20歳代のstep daughter が先日脊椎の手術をした。
術後、3日に渡ってひどい頭痛に苦しめられ起き上がることができないそう。なんでも先天性の疾患で過去にも数回手術を受けているそうだ。たぶん側弯症かなにかなんだろう。メインランドの名だたる病院で手術を受けたそうだが、案の定一泊。4時間の全麻手術後翌日の夕方には退院。本当か?

痛みに対して医師の指示は、お約束のPainkiller。
全麻術後、麻酔などの影響で頭痛がでることがある。創部の痛みはないとのことで、創部感染ではなさそう。ちなみに、術後の血液検査などもないのがカナダ。
麻酔の合併症じゃないの?と聞いたらもう3日経ってる。寝ていると大丈夫だが、起き上がると頭痛がすると。
で、CT検査したら、脳に水が溜まっているのがわかったそうだ。何らかの原因で髄液が脳に溜まってしまったのか?その後、再入院できたかどうかはわからない。義理の娘さんなので会いに行くことはできないという。
どうして、もう少し長く入院させてもらえないのか。でも、これがカナダの現実だという。
その病院の手術室に続く廊下には、ストレッチャーに乗せられた患者が複数いたという。にわかには信じがたいが、リカバリーに入りきらないのだという。リカバリーで数時間過ごして、問題なければ退院という運びなのだそうだ。創部の消毒とかしないのか???抜鉤とかは???

こうなってしまうのも、医療費が無料だからだ。と同僚たちは言う。以前は公的医療保険は有料だったが今は保険料も治療費も無料。そのために医療の質が低下したという。お金払うから、質を上げてほしいと。私もそう思うー。息子が鼻水止まらないから、副鼻腔炎を疑っているんだけれど、職場のベネフィットで加入した保険(月100ドル負担)。オンラインで24時間無料診察が受けられるというので、やってみたら、受診却下。カナダでは風邪症状ぐらいでは、受診しないらしい。副鼻腔炎ってCTとらないと診断できないし、いったいどうやったら診断してもらえるんだろう?

職場でのミーティング中にその話題になったので、クライアントのお母さんも参戦。クライアントが10年ほど前、脊椎側弯症の手術を受けた時、なぜか頭皮に外傷を負っていたという。その部分から感染して、治癒するのに相当時間がかかり、その部分は今ハゲになっている。手術は12時間かかったそうだから、私の推測では頭部を固定した装具に圧迫されて褥瘡になったんじゃないかと思う。日本の手術室は、術中の褥瘡発生を防止するために細心の注意を払っている。どんな小さな手術でも褥瘡のチェックリストがある。事前に術前訪問で褥瘡リスクのチェックもしている。私は脊椎の手術の術場には入ったことはないけれど、頭部は当然固定するだろう。入院したあと、患者が普通に褥瘡作ってくるカナダなので、術中に褥瘡できても不思議はないと思った。でも、みんなは脊椎の手術なのに頭を固定する意味がわからないという。手術中に何かぶつけたのよ、という感じ。みんな、もっと褥瘡の恐ろしさに気づこうよ!いったい、なんなんだろう・・・

患者が自分で予防しましょう、というスタイルらしい。

https://www.healthlinkbc.ca/illnesses-conditions/injuries/pressure-injuries-prevention-and-treatment

どうやって、寝たきりの患者が自分で体位変換するんだ???

病院では患者がギャッジアップされたままずり下がっても誰も助けてくれないという。知り合いの日本人ケアギバーが、下がってるから上げてくださいと頼んでも「もう、勤務終わるから」「二人介助じゃないと上げられない」と断られたそうだ。まあ、それはそれで褥瘡以前の問題なのだが。
結局褥瘡ができたとしても、発覚するのは退院後なので、誰の責任にもならない。日本だと、インシデント扱いで褥瘡係とか所属長に叱責されることさえあるのに・・・

Braden ScaleはHealth Care Assistant の教科書にさえ載っているので、知識としては知っているとは思うのだが。

ちなみに、日本の病院でなぜ褥瘡褥瘡とうるさいかというと、理由の一つには褥瘡ができやすい患者さんが多いとか、看護師としての責任感もあるにはあるが、診療報酬が関わっている点が大きいと思う。褥瘡対策をすると診療報酬が加算される仕組みがある。病院が赤字にならないように(すでにいつも赤字だが)、診療報酬をできるだけ加算しなければならない。だから、褥瘡ハイリスク患者のチェックとか、褥瘡回診などがある。病棟の看護師は、毎週毎週、入院患者のスクリーニングのチェックやらハイリスク患者の確認とか褥瘡発生の報告など行わなければならないので大変だ。末端の看護師たちは、日々2時間ごとの体位変換に、褥瘡好発部位の観察、保湿したり教育したり、研修受けたりと褥瘡が発生しないように真面目に努力しているのであった。かくいう私も、未だに旧アルメディアの会員である。

https://www.almediaweb.jp/pressureulcer/maruwakari/


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