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おむつ着用患者の皮膚トラブルのケア、何が正解なのか?【追記】

クライアントが長いこと、皮膚トラブルに悩まされている。
1年近く前に、鼠蹊部の皮膚が少し裂けて赤みが出ているのを発見。その後その状況が広がり殿裂部にも裂け目(スキンテア)ができた。

私が働き始めてからその時までそのようなスキントラブルはなかったので、なんか感染したな・・・と思った。
というのも、クライアントには難治性の尿路感染症があるため、やや高容量の抗生物質の内服を始めたから。抗生物質を長期服用してると腸内や皮膚常在菌まで殺してしまうため、カンジダなどの当たり前にいるバクテリアが増えすぎてトラブルを起こすことがよくある。

最初は亜鉛華軟膏のようなカナダの医療用のwound dressingを塗布した。しかし、一進一退で治ってはぶり返すをくりかえす。亜鉛系クリームは2種類あるが、どちらに変えても皮膚が綺麗になることがない。そのうちカンジダ膣炎も起きるようになり、
「これは、真菌感染だな」
と思った。
カンジダの薬をつけてみるとよくなるが、薬は1週間と決まっているため、中止するとまたぶり返してしまう。

お母さんや同僚は、これは真菌感染ではないと言ってコーンスターチ(ベビーパウダー)をたっぷりかける。
でも、皮膚が重なっている部分が蒸れてパウダーが団子になる。これは、どうもいまいちだ。傷口にコーンスターチ・・・だいぶ微妙だ。

弱目のステロイド(ヒドロコルチゾン)入りの軟膏にしてみた。これは、ClotrimazoleにHydrocortisoneを混ぜたものでもともとスキントラブル用に処方されていたもの。
これは、少し効果があったがやはりやめるとぶりかえす。お母さんは、ステロイドは皮膚を薄くする副作用があるから2週間以上は使えないという。

ここまで色々試して治らないなら、医師に見てもらえばいいのだが、決して受診という話にはならない。
あくまでも、OTCや手持ちの薬や民間療法でなんとかしようとする。
日本と違って、皮膚科のクリニックなど見たことないし、皮膚癌とか褥瘡とか大ごとにならなければ次のステップに進めないらしい。

コーンスターチのつけすぎも良くないと思うし、ゴシゴシ擦らずに温水洗いしておしぶきして乾燥させたらどうだろう?(日本式)
でも、陰部洗浄の習慣がないのか、洗浄ボトルを見せてもポカンとされて洗い流す発想がカナダ人には全くない。100歩譲ってドライヤーで乾燥させる。

同僚は元看護師だから、知り合いのwound nurse(日本で言えばWOC皮膚・排泄ケア認定看護師)にどうしたらいいか聞いてみた。
すると、我々が今までやってきたことをやれと言ってきたそう。それ全部試してダメだったんでどうする?

ちなみに、日本で寝たきりの患者さんのお世話をしたことはあるけれど、病院だったので、胃瘻の瘻孔がじゅくじゅくしたり、お尻周りの皮膚トラブルが起きた時にはすぐに何らかの処置をして治っていた。ステロイドの時もあったし、ゲンタシン軟膏だった時もあるし、亜鉛華軟膏、サトウザルベ、ワセリンなどなど。

やっぱ真菌だと・・・と思うけど、同僚は真菌じゃないという。過去の患者さんで太って弛んだ皮膚の間に慢性の皮膚炎があってそれと同じだという。まあ、それも真菌感染じゃないのかな?と思うけど、培養とか顕微鏡でみてみないと診断できないでしょ。

しまいには、ポピドンヨードで消毒してみてはどうか?という意見も出てきた。

まじで?

今どき、皮膚にできた傷は消毒しないのが常識だ。(と私は思ってた。何十年も)昔は、怪我といえばマキロン、アルコール消毒だったけど、現在は流水できれいに洗って閉鎖療法で治す。
消毒薬は、最近も殺すけど皮膚の細胞も殺してしまうため、治りが遅くなると言われている。

別の同僚(声がでかい元ナース)も「ポピドンヨード?No」と言う。
ですよね・・・
お母さんには、アルコールやポピドンヨードでは消毒しないでと言っておいた。

でも、念の為ググってみたら傷口をポピドンヨードで消毒するケースもあるようなのだ。ま、イソジンのウェブサイトより・・・なのだが。

結局、病院も受診できず、知り合いの医療従事者などに相談しつつ迷走し続けるのであった。
ちなみに、過去に褥瘡患者のケアに関わったことがあったが、wound nurseの処置も完璧ではなかった。そして、1年頑張ったが在宅では治すことができず、手術となった。(ちなみに、1年待ち)その後どうなったかは知りません・・・

【追記】
亜鉛系軟膏で赤みが出るので軟膏を中止。→チューブサイトの赤み改善
鼠蹊部、殿裂部→生理食塩水で洗浄して乾燥させるのみ(適宜ドライヤー使用)→改善

要するに、乾燥させるだけで治った。
なんだったのか・・・

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