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言葉や常識が通じない・・・ので困る、カナダの介護

コロナに対する考え方もそうなのだが、感染予防や廃用症候群に対する全般的な共通理解がない。

嚥下障害ときたら、誤嚥性肺炎予防がトッププライオリティかなと思うのだが・・・痰を飲み込むことのリスクや口腔ケアの重要性があまり伝わらない。カナダは医療従事者でもあまり誤嚥性肺炎を知らない。だから今まで誰も指導しなかったからなのかわからないが、ここではクライアントが嚥下できずに喀出した唾液や喀痰を取り除かないで、飲み込むことが推奨されている。
「自分で飲み込めるから大丈夫。出さなくていい」と言われる。もちろんサクションも基本禁止。(サクションの刺激で唾液分泌が促進されてしまうから)

日本の呼吸器科で痰づまりによる窒息や誤嚥性肺炎の患者を数多く見てきたから、咽頭貯留物があってゴロゴロしたりむせたりしたらヒヤヒヤする。口の中の汚い粘液とかも取りたい。本当は、歯磨きのときのうがいもできないのでサクションで取り除きたい。でも、飲み込めるから何もしなくていいらしい。。。嘔吐や胃液の逆流もあるので、胃液が肺になってしまったら命に関わると思うのだが・・・カナダでは起きないのか?日本の私が働いてたところでは起きたよ。(それまで結構元気に喋ってた患者さんが、何かの拍子に嘔吐した胃液を誤嚥してすぐに亡くなったんだよ。あれには唖然としたね。それ以来、胃液は凶器だと思うようになった)
幸い、今の所肺炎は経験したことはない様子。

日本の病院では、患者の口の中に喀痰などがあって嚥下も吐き出すこともできないときは、窒息または誤嚥しないように、まずは患者を横向きにする。(意識障害があれば、もちろんしょっちゅう観察するし、当然サクションもする)

私は、この介助がもう自然の動きとなっているので、クライアントがむせると自動的に患者を横向きにしたくなるし、横に向けると口の中の喀痰が流れ出るので取りやすい。でも、それがだめだというのでなぜ横向きにしたのか説明するのだが、むせることのリスク、喀痰を取り除く必要性から説明しなければならなくて、結局意図が通じないのであった。お母さんはお母さんで、自分で飲み込めるし、万が一窒息したら、側臥位よりも仰臥位の方がサクションできるからそのほうが良いという。側臥位にしてだめだったら仰臥位に戻せばいいと思うのだが、長年の在宅介護の経験から、むせても仰臥位のギャッジアップでしのいでいるから、あまり危険だと思わないようだ。むせた状態で、顎を上げると気道が開いてしまうので、より気管に入ってむせる確率が高くなる。でも、お母さんも自分の意見を主張するので、どうしても英語が拙いわたしには顎を上げた状態だと気道が開いてよりむせ込みやすいという説明ができないのであった。お母さんは、咳き込んだほうが痰が出せるし、サクションもしやすいから横向きにするよりも道理にかなっているでしょう?と力説。雇用主の方針には従わなければならないので、仕方ない。これからも、むせてもサクションもせずにギャッジアップのままか・・・今は若くて体力もあるからたとえコロナでも肺炎にはならなさそうだけど、何年持つかなぁ。。。

この根本的な認識の違いは、貼付剤をペリっと剥がす道理と同様すり合わせるのが困難だ。本当に。

在宅介護は、家族が長期間にわたって行ってきたため、家族のやり方が定着している。より安全で効果的な新しい方法などを紹介してもらったり、手技を指導してもらえる機会はないのだ。

カナダは、車椅子などに座りっぱなし、座らせっぱなし介護はよくある。褥瘡も心配だが、ベッドや車椅子にがっつり固定されていると、関節拘縮が進むのでそれだけはどうしても避けたい。クライアント家族や同僚看護師に納得してもらえるように、英語力のアップが必要だ。

■ カナダ的誤嚥性肺炎啓蒙資料
chrome-extension://efaidnbmnnnibpcajpcglclefindmkaj/https://www.patientsafetyinstitute.ca/en/toolsResources/Hospital-Harm-Measure/Improvement-Resources/Aspiration-Pneumonia/Documents/HHIR-Aspiration-Pneumonia-A12.pdf
実際、具体的にどうしたら良いかは書かれていないし、言葉が結構難しい。

■ 関節拘縮予防

日本語のサイトなら、図まで載ったわかりやすいサイトが多数見つかるのにカナダだと全然ヒットしない・・・とりあえず、尖足が気になっているのだが。

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