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カナダの看護師、色々すぎる

私の周りには色々な看護師がいる。ただ、わたしは今病院で働いているわけではないので、普段よく接する看護師は、夜勤で来る訪問看護師だ。わたしは滅多に遅くまで働かないので夜勤のナースとゆっくり話す機会はあまりないのだが、先日1時間ばかりシフトが被ったことがあった。

彼女の経歴は、異色だ。何しろ日中は工場で働いている。力仕事でもフォークリフトでも何でもするんだという。もう白髪交じりで50代後半といったところ。なぜ、看護師(彼女はLPN、日本で言う准看護師)なのに工場で働くのかというと、そっちのほうが時給がいいんだそうだ(びっくりした。夜勤なのに、あんまりもらってないのか!あの、エージェンシーは給料が低い!)

しかも、初めて一緒にイブニングケアをしたのだが、それが2年ぶりだったとのことで、わたしの方が慣れているので全部わたしがやった。彼女が言うには、看護師になったのは12年前で、それからずっと夜勤の訪問看護一本でその間たった二人の患者しか経験がないという。そんなことがあるのか!
昔は老人ホームで働いていたこともあったそうだが、看護師になってからは一人のクライエントを8年、その後私のクライエントを4年みているそう。
「わたしは、あまり経験がないから、全部ここに前いたナースに教えてもらったのよ」だそうだ。

コロナでケアギバーがいなくなったときには、勤務時間を延長して12時間勤務したので、イブニングケアもやったけど、その時10年ぶりに導尿したと言っていた。

彼女が看護師の資格を取った時、通常は2年課程のところ、intensiveといって1年で取れたそう。実習とかはやったんだろうけど、さすがに訪問看護でクライアント2人だけとはあまり経験は積めなかったに違いない。彼女の場合、本業が工場労働者で副業が夜勤訪問看護師なのだ。

うちのクライアントは、夜はほとんどやることはない。てんかんの発作が起きたときだけ、呼吸管理や必要に応じて鎮静剤を投与する。おむつ交換や体位変換もしなくていい。(おかあさんの方針)
発作は、毎日起きることもあるけれど大体1分以内でおわり、何の介入も必要ないこともある。頻回にトイレに行くお年寄りや、失禁したり徘徊したり暴れたりするクライアントのお世話に比べれば随分楽な夜勤だ。おまけに文句も言わない。

ここで、夜勤できるなんてラッキーすぎるぞー!
(でも時給が安いらしい・・・たぶん、エージェンシーが半分持って行ってるのだろう)

日本には、もうあまり准看護師は存在しない。正看護師、それも4年制大学卒業した看護師を増やす方針だから、准看の学校は減っている。ところが、カナダは老人ホームや訪問看護で働いているのはほとんど准看護師だ。正看護師は彼らのマネージメントやスーパーバイズをするために存在する。バンクーバーのホスピスも、正看護師は各勤務時間帯で1名のみだった。

ともかく、たった一人のクライアントだけを受け持って、しかも週2回程度の勤務で何年も看護師を続けられるなんてなんとも不思議な仕組みだ。
カナダの看護師免許は毎年更新しなければならないので、一体どのようなプロセスで更新してるのか今度教えてもらおうと思う。

なお、彼女の娘さんは4年制大学の看護コースに在学中で、さらに専門的な課程(精神科看護など)を履修し、大きな病院で臨床実習もしているとのこと。しかも、老人施設でのアルバイトもしているそう。娘のほうがいい看護師になるわね!とのことでした。まあ、お母さんがダブルワークして娘さんの学生生活を支えているんでしょうね。立派です!


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