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重度発達障害者を在宅で看る困難(カナダ)

クライアントは24時間介護(全介助)、見守りが必要。場合によっては急変対応、てんかん発作管理、呼吸管理、感染予防、排便・排尿管理、栄養管理、リハビリテーション、コミュニケーション、コンパニオンシップ、デイケア・病院等送迎付添。今まで、クライアントのケアは両親とケアギバーが協力して行って来たそうですが、今後はケアギバーにより責任ある仕事を任せたいという意向です。つまりは、今までは両親が24時間一緒にいるまたは、すぐ連絡がつく状態であったのを、今後は、より医療ケアスキルの高いケアギバーを複数雇用するので、親が四六時中そばにいなくても大丈夫なようにしたいと。

ここには、すでにベテランのケアギバーがいてその人は医療も介護の経験も資格もない人ですが、非常にプロフェッショナルでヒューマニティにあふれる方です。ですが、その人でも急変時や医療処置に関してはあまり自信がないのだそうです。しかも、その人はこれからはもう少し自分の時間を持ちたいので、フルタイムで働く気はありません。

カナダでは、20年ぐらい前、障害者の施設が廃止になって在宅介護に移行したそうです。なので、ケアギバーに支払う資金は潤沢?にあるらしいのですが、いざ雇うとなると、ふさわしい人がなかなか見つかりません。そもそも、人工呼吸器こそつけてませんが、嚥下障害があるので窒息、誤嚥のリスクが常にあるため観察し、その兆候があれば速やかに処置をしなければなりません。こういう事ができるのは、経験のある看護師しかいませんが、BC州の極端な看護師不足から看護師をプライベートで雇用することは至難の業です。しかも、看護師の給料はうなぎのぼりのため、安い賃金で長期で働いてくれて、さらに人間的にもOKな人を探すのは簡単ではない。長期というのは理由があって、疾患が特殊で、ケア内容も細かいので単独で働けるようになるのにかなり時間が必要だからです。

何しろ、人口が少ない・・・バンクーバー島では、いろんな職種で人手不足。しかも、高齢者に人気の島ときてるから労働人口が減少。ちなみに10年後、私も高齢者!
また、カナダ人は、一つの職場で長く働くということはあまりありません。日本と違って新卒採用からの終身雇用ではないし、即戦力を中途採用するのが当たり前。そして、労働者も、ここは合わないと思ったら、普通に数日、数週間でやめます。日本人から見たら、なんて忍耐力がない・・・と思いますが、こっちでは普通

では、安い賃金で長期働いてくれる看護師・・・それは日本人看護師です
毎年ワーホリや語学留学で大勢の日本人がカナダに来てますが、看護師は結構多いです。なぜなら、看護師なら若くしてお金が貯められ、留学してキャリア中断し、日本に帰国しても仕事があるからです。さらに、日本人看護師でカナダの看護師免許を目指す人はほとんどいません。いくら高い看護技術や経験、職業倫理があっても英語の壁が高くて無理だからです。(留学エージェントなどのwebsiteには成功談しか載ってません。私は、バンクーバーで最低賃金で働いている日本人看護師を大勢見ました。私もそうでした。)

しかも、いくら日本で看護師だったとしても、カナダの資格がなければwork permitのスポンサーになってくれる人は簡単には見つかりません。みんな、ワーホリや語学留学が終わったら帰国します。働きながら遊びに来てるのが目的といえばそうなのですが、英語さえできれば活躍できるのに非常にもったいないです・・・

それはさておき、日本人看護師でバンクーバー島に来てくれる人がいるかというと、それが第2の問題。日本人は、基本大都会にしかいません。最低賃金で働いている知人に声をかけましたが、Islandまで来たいという人はちょっといませんでした。

夜明け前

イヤまいった。久々の連休なのに・・・
今日は朝からいい天気。夜明け前に猫ちゃんに起こされ早朝散歩。練習がてらドライブに行こうかと思ってたけど、仕事のこと考えてしまった・・・
現在、フルタイムは私一人だけ。私が怪我したり病気になったりしたら代わりがいません。早急にもうひとりカバーが必要です・・・ですが
雇用主も含めて、私以外のケアチームのスタッフ誰もこんなこと悩んでないんだろうなー(カナダ人、意外と危機感がない・・・のんびり)
結局、私がリクルーターをしているのであった・・・でもビザの条件等で色々難しい。

昨日、ダメ元で息子に「あんた看護師になる気はないかい?」
と聞きました。すると
「うーん。だって、ママの働いてるの見たら看護師って大変そうだからなぁ」
「あんた、ママが働いてるの見たことあるの?」
「ないけど、話聞いてたら大変そうだし、帰ってくるの遅かったじゃん。いつも帰って来るの待ってたのに、起きてるとき帰ってきたことないよ
(可愛いこと言いますね♡)

「まあ、それは日本の病院だったからであって、カナダは時間になったら患者さんほったらかして帰っていいから日本より早く帰れるよ」

今思えば、不思議な話だが、7時間半の実働時間に終わらない数の患者を割り当てられ、すべてのケアを終えるまで帰れず、その後に記録(1,2時間かかってた)。その上、情報収集のために新人の頃には1時間以上早く出勤。残業手当など当然なし。実際のケア以外にも、入院とったら患者情報を入力、看護計画の立案、検査・オペ説明、記録etc。さらに委員会や研修等で時間外に残ることもしょっちゅう。病棟を出るのが9時過ぎたこともよくあった。実働13時間かー。

それが普通だった日本の総合病院。自殺者が出たり、パワハラ問題が社会問題化して、あれから、だいぶ環境は変わったと思う。今、私が元の病院に戻って働いたら、残業手当はしっかりもらうか、時間内にできないことはやらないと言うだろう。あ、その前に年齢的にもう採用してもらえないわー💦

晴天ですが、霜が降りてました

<まとめ>
・重度発達障害者の在宅介護のためのスタッフ確保は至難の業
・カナダ人、長時間労働、長期間労働はしたがらない
・カナダ人、転職当たり前(長期休暇申請して却下されると、すぐ辞める)
・カナダ、医療従事者ありえないぐらい不足
・日本人看護師はカナダで介護士として働いている
・日本人看護師の能力は高いと思うが、カナダで免許を取るのが超困難(英語力なさすぎ)


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