![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/41524816/rectangle_large_type_2_9415329ec38cc2201a7ccd6eac59c179.jpg?width=800)
法面工事を3D化して分かったこと。
今回は法面工事を3D化して分かったことについて共有します。
今回も少々マニアックな記事となっています。
元ネタはこちら
法面工事を3次元化して管理していきますよというお話です。
何が良いかというと、3次元化したらどんな高い場所でも足場を組まずに出来形管理できるでしょう?ということです。
ですが、この法面工事は3次元化するにあたって困難と思われる個所があります。今回はCIMとの連携を含めて記事をまとめます。
※力尽きてCIMに関して書けませんでした。
1.法面工事の3次元化は可能か
法面工事とはむき出しの山の斜面をコンクリート等で固めて動かなくする工事のことです。
工種はいくつかありますが、地山に沿って作る現場合わせが多いので3D化することに難儀します。
例えば
・設計図面そのものの信ぴょう性がない場合がある。
・設計図面を作っても現場に適さない形となる場合があり、作り直しが必要なことがある。
・ドローンで撮影する場合木陰になる場所があり、陰になりやすい。
・点群データを取るにあたって草刈りをしなければいけないが、斜面なので危険を伴う
などです。
工事が始まる前、私が図面をもとに作った3Dモデルがこちらです。
完成した法面はこちら
イメージとしてはいいのかもしれませんが、モデルそのものではありません。これは、現場合わせをするからこそ起こることなのです。
まずいんじゃないか?とのご意見もありそうですが、法面工事において現場合わせでOKというルールもありますので、これでOKです。
この3Dモデルでは面ができますので、コンクリート量を測定することや鉄筋の材料、足場の代金を計算することができます。
結果として、3Dモデルを作ることは可能です。ですが、初期のモデルでどこまで信頼できるのかははっきりと明言することはできません。
2.法面現場を3次元化する効果はどこにあるのか
ですが、地山を削り法面をつくる土工事においては効果を出します。
単純にボリューム(土量)を出す作業には非常に役に立つのです。
横断・縦断線形作成はその代表だと思います。
2人で数日かけ、かつ危険も伴う作業をUAV(ドローン)又はレーザースキャンでものの数分で終わらせることができます。そこから道路中心線に沿って90度に横断を引けば簡単に土量計算・現況確認をすることができるのです。
この時点ですでに効果は明白なのですが、さらに効果が出るのが斜面の掘削工事です。下の図をご覧ください。
設計データに対して土量を計算することができ、進捗がすぐにわかります。
さらに、土量が残っている個所、または掘削しすぎている場所を一目で見ることができます。
発注者にも説明しやすいですし、工事をする技術者も安心できる内容ではないかと思います。
また、斜面ということもあるのでVRを利用した安全教育に生かすことができます。
VRを行うことでマンネリ化した安全教育に活気が出てきます。
安全第1の現場で効果はあると考えられます。
もう一つは足場のイメージ共有ができることです。
足場が何本必要なのか、どのような形が理想的なのかというものをすぐに伝えることができます。足場を組む親方に現場に来てもらう必要もないかもしれません。
3.法面を3D化して出来形管理はできるのか?
現時点では「できる、が維持工事という長い目でみる前提で行う」ということを想定しての回答になります。
現場を点群化したこちらのデータをご覧ください。
実はこの点群データ各場所にTS(トータルステーション)で測った座標がないと意味を成しません。
これまで、現場での出来形管理はランダムに抽出した場所をレベルと呼ばれる距離を測る道具で検査していました。
点群上で測る場合には、まずこの点群データの信ぴょう性を確認する必要があります。そのためには、ある一定の測量点をこの点群データ上に表示しなければなりません。
ICT活用工事(法面工)実施要領でも以下のように記載があります。
つまり、信ぴょう性がないと思われる場所はこれまでの方法又はその他の方法と合わせ技で検査しなさいと書かれています。
点群データを取れば終了。という話ではなく、この点群データはどこまで信用できて、どこが信用できないのかということを表現したうえで出来形検査資料を提示しなければなりません。
その為には、所定の個所をこれまで通りレベルで測り、一定程度の場所をTSで測定して座標を表現しなければなりません。(例えば↓の赤い点)
そのうえで、長さを計測する。この時のずれは2㎜程度という話を発注者と事前にしておかなければなりません。
イメージしずらいかもしれませんので、3次元計測技術を用いた出来形管理要領(発注者がこれを見て計測しなさいと指定している説明書)にまとめられている図を添付します。
これまでの管理では、数か所の写真を取ればよかった測量を何か所もすることになり手間が増えます。
ただ、今後の維持管理ということを考えれば施工した当初に取っておくべきデータではあるのです。
とはいえ、出来形検査できない(行わない)場所があります。それがコンクリートの厚さです。
こちらも要領に書いているのですが、厚さ管理には難点があり測定できません。
実際、TSで角を取って計測することも可能ですがその必要性があるかどうか、そしてそのデータの整合性を保つ必要があるかどうかという点で出来形検査はできません。(行いません)
ちなみに、断面もとれます。ここから厚さを推定することもできますが・・
(断面切断方向↑(青い線)・断面図↓)
4.法面工事を3D化する時に必要な機材は?
やはり、TSは逃せません。
私であればMS60が心強いです。
TREND-FIELDと連携するLN-150も捨てきれませんが、傾斜がきつすぎる面では対応できない場合もあります。
TREND-FIELDについてですが、このソフトとTSを連携させればドローンで測った場所に欠損が見つかってもすぐに見つけることができます。
わが社でも導入していますが、法面工事をする際に非常に助かっています。
広範囲な面を測量する場合にはドローンも必要です。
ドローンの紹介をする必要はないと思いますが、撮影の方法に気を付けなければならない点があります。以下の5つの点を守って空撮しましょう。
言っていることが難しいので非常に簡単に言うと
・ラップ率を高くすること
・1枚撮影するときは、1ピクセル以下にすること
・斜面となる最下部は撮影枚数を増やすこと
・死角が生じる場所は見える場所から垂直に85%以上の密度で撮影すること
ということです。
Phantom4RTKには斜面を計測する機能も付随しています。
ですが、私はこの機能はめったなことがないと使いません。
理由としては1ピクセル以下にすることができないからです。
ざっくりと土量を出すだけなら良いかもしれませんね。
5.まとめ
法面工事を3D化する効果が目に見えてわかるのは大規模法面の場面かと思います。
ただ、これからICT対応0.4BH(小型ショベルカー)が普及します。
そうした時に法面工事における現場3D化は大きな効果を出すと思います。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?