見出し画像

前代未聞のお祭り公演!「将棋×音楽 スペシャルコラボイベント 駒音に耳をすませて」レポート

2024年6月21日(金)、文化会館たづくり くすのきホールにて『将棋×音楽 スペシャルコラボイベント 駒音に耳をすませて』が開催されました!

出演
佐藤天彦九段(作曲)
青嶋未来六段
香川愛生女流四段
廣津留すみれ(ヴァイオリン)
中島章博(フルート・作編曲)
鈴木優人(ピアノ)
森下 唯(ピアノ・編曲)

本公演は、一流棋士たちをゲストにお招きし、棋士の皆さんからのリクエストコーナーや、盤面の展開によって変化する生演奏をバックに行われる緊迫の対局、次の一手を当てるクイズなど、充実した内容の公演となりました。

(c)K.Miura

エグゼクティブ・プロデューサーの鈴木優人と、アソシエイト・プロデューサーの森下唯による、調布ではお馴染みの2台ピアノの連弾 いずみたく作曲(森下唯編)『ゲゲゲの鬼太郎』からスタートしました。

原曲の雰囲気を活かしつつ、なめらかにアレンジされたハーモニーが会場を優しく包み込み、大きな拍手の中が鳴り響きました。

また『名手たちが奏でる シューベルトの名曲「ます」』公演に続き、本公演でも、世界に25台しかないベーゼンドルファーのクリムトモデルが登場しました。

そして、ゲストとしてお越しいただいた、調布市出身の棋士・香川愛生女流四段をはじめ、佐藤天彦九段、青嶋未来六段が登場。

皆さんのリクエストにお応えし、演奏する企画が始まりました!

(c)K.Miura

天彦九段からのリクエストで演奏されたのは、J. S. バッハ作曲の『前奏曲とフーガ ホ短調 BWV 548より/フランス組曲 第5番ト長調 BWV 816よりアルマンド』

続けて、香川女流四段からのリクエストで、椎名豪作曲(森下唯編)の『蒼い鳥』が演奏されました。

この曲は、当時「ピアニート公爵」の名で森下さんがニコニコ動画で配信したところ話題となった楽曲で、香川女流四段もよく聴いていたそうです。

(c)K.Miura

最後は、優人さんの中学・高校の後輩でもある青嶋六段からのリクエストで、菅野よう子作曲の『ダイアモンド クレバス』

モーニングショーから駆けつけてくださった廣津留すみれさんも登場し、森下さんと共に、高校生時代にハマっていたアニメ、マクロスフロンティアという作品の楽曲が演奏されました。

音楽将棋Ⅰ〜名曲を聴きながら〜

(c)K.Miura

そして、天彦九段と青嶋六段の対局を名曲で彩る<音楽将棋 Ⅰ 〜名曲を聴きながら〜>企画がスタート!

序盤曲は、J. S. バッハ作曲の『無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第3番 ホ長調 BWV 1006 Ⅲ.ガボットとロンド』

軽やかな廣津留さんのバイオリンの演奏にのせて駒音が会場に響きます。

(c)K.Miura

中盤曲は、森下さんの登場!
ベートーヴェン作曲の『エリーゼのために』が演奏されました。

お互い攻守ともに一歩も引かず、手に汗握る対局。
すっかり心を奪われ、楽しまれていた優人さんでしたが、名残惜しくも終盤曲の演奏がスタートしました。

(c)K.Miura

終盤曲はヘルマン・ネッケ作曲の『クシコスポスト』

まさに対局の様子を表現したような、焦燥感と高揚感溢れる演奏とともに対局は進み、青嶋六段が勝利しました。

青嶋六段は「音楽に合わせて対局をすると、だんだん気持ちものってきて攻め込むことができました。ありがとうございました」とコメント。

天彦九段は「バッハの曲や演奏を間近で聴く機会が初めてでした。思わず聴き入ってしまい、時間をロスしてしまいました。もっと長時間聴きたかったのですが、すごく楽しかったです」とコメントされました。

(c)K.Miura

次に、棋士の天彦九段により作曲された『ヴァイオリンとピアノのための試作』が、優人さんと廣津留さんにより演奏されました。

(c)K.Miura

今回の演奏が世界初演ということで「優しいメロディーの中にも、心の中の熱さを表現したような短調の曲です」と天彦九段がコメントされました。

演奏後に廣津留さんからは「実際に演奏してみて、鬱々とした闇の中で『一筋の光が見たい』というメッセージを感じました」と仰っていました。

音楽将棋Ⅱ〜音楽家同士の真剣対局〜

続いて、舞台上にてフルート奏者の中島章博さんとエグゼクティブ・プロデューサーの優人さんが対局を繰り広げながら、展開に合わせた即興演奏で盛り上げる<音楽将棋Ⅱ〜音楽家同士の真剣対局企画〜>がスタート!

音楽家同士の将棋対決は大変珍しく、特に中島章博さんは、今回棋士として参加された佐藤天彦九段の作曲の師匠とのことで、解説も盛り上がりました。

(c)K.Miura

対局中は、当日の朝に作曲されたという曲を含めて、全3曲の即興曲が演奏されました。

戦況によって選ばれる即興曲で、会場により両者の心境や戦況が音楽と共に伝わります。

(c)K.Miura
(c)K.Miura

白熱した戦いが続きましたが、優人さんが勝利!

優人さんは「香川女流四段による秒読みになった瞬間、脳のスイッチが入ったように集中できました」とコメントし、会場は拍手に包まれました。

音楽将棋Ⅲ 〜「次の一手」クイズつき〜

最後の企画は、天彦九段と香川女流四段の対局の先手番の候補を当てるクイズ企画<音楽将棋Ⅲ 〜「次の一手」クイズつき〜>

青嶋六段の解説で対局が進み、途中で会場のお客様も巻き込んだ次の一手を予想するクイズが出題されました!

(c)K.Miura

クイズの答えを考えている間、廣津留さんと森下さんによる、シューベルト作曲の『ヴァイオリンとピアノのためのソナチネ 第2番 イ短調Op. 137-2, D 385より第3楽章 メヌエット』が会場を盛り上げます。

3分切れ負けという、驚くべき早指しの対局を制したのは、天彦九段!

最後は、またまた世界初演の中島さん作曲、全員参加の『スーザ流ゴキゲン中飛車マーチ』が会場を包みました。

ゲストで参加していただいた棋士の皆さんは打楽器を演奏。
楽しげで明るい、リズミカルな楽曲でフィナーレを迎え、閉幕いたしました。

(c)K.Miura

クラシックファンの佐藤天彦九段と、将棋ファンの優人さんがタッグを組むことで実現した本公演。駒音と音楽が響き渡る、楽しく贅沢な公演となりました。

ご来場いただいた皆さま、ありがとうございました!

調布国際音楽祭2024レポート、引き続きお楽しみください。

協力:ベーゼンドルファー・ジャパン
後援:日本将棋連盟