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HDR徹底解説、「High Dynamic Range」とは

HDRとは

HDRとはHigh Dynamic Range(ハイダイナミックレンジ)の略称で、映像の明るさ情報の幅を広く記録する技術です。表現できる輝度の幅が大きくなったので、映像の暗い部分にあるものが認識しやすくなり、明るいところはすごく明るく見えるようになりました。
既存の輝度幅はSDR(Standard Dynamic Range)といいます。
4Kという高解像度な映像技術が誕生し、より高品質な映像を表現するために作られた技術です。

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SDRとHDRの太陽の光を見ると、SDRの方が広範囲に光っており、太陽の位置が定まりません。
また、雲も白飛びをして輪郭がぼやけていますが、HDRは太陽の位置を認識でき、雲も細かい輪郭まで表現出来ています。
このように輝度の幅を広く記録することで、より綿密でデータ量の多い画像を撮影することが出来ます。

HDRの色域と輝度幅

HDRが誕生するまでは、SDRの色域規格であるBT.709で表現されていました。この輝度幅は0~100nitであったのに対し、HDRの色域規格のBT.2020は0~10,000nitあります。
HDRコンテンツを作る際に一番高い輝度を10,000nitで作りこまなければいけないということではありません。HDRコンテンツには複数の規格があり、用途によって規格を変えて制作します。

HDR の規格

HDR には現在「HDR10」と「Dolby Vision」、「HLG」の 3 種類の規格があります。
「HDR10」は Ultra HD Blu-ray で使用されている技術で、タイトル毎に輝度は決まっています。
「Dolby Vision」は Dolby 研究所が開発したプログラムでフレーム毎に輝度を決められるので、より輝度がはっきりとした迫力のある映像になります。
「HLG:Hybrid Log-Gamma( ハイブリッドログガンマ )」は NHK と英国 BBC がテレビ放送用に開発したものです。
SDR と HDR の輝度信号を合わせて送るので、SDR 対応のテレビでも輝度幅がある映像が見られ、
HDR 対応のテレビでもその通り綺麗な映像が見れるようです。

ULTRA HD PREMIUM

アメリカの主要スタジオ、家電メーカー、映像コンテンツ配信会社が設立した「UHD Alliance」という団体が、
4K/HDR 映像の品質保持のために最低限の仕様基準を決め、基準を満たしているテレビなどの表示機、コンテンツを対象に
 ULTRA HD PREMIUM のロゴを付与することになりました。

【表示機の規格条件】
■ 解像度:3840×2160 以上
■ 画像の正確性:10bit の入力信号に対応
■ 色空間:
   入力信号 BT.2020 の色域規格に準拠
   表示装置の再現能力 PCIP3 の色域の 90%以上を再現
■ HDR:
  EOTF:SMPTE ST2084 に対応
  最高輝度と黒輝度の規定(下記 2 つの組み合わせのいずれかを満たす)
   ・最高輝度 1000nits かつ、黒輝度 0.05nits 以下(LCD 等を想定)
   ・最高輝度 540nits かつ、黒輝度 0.0005nits 以下(OLED 等を想定)

HDR に最適なモニター

輝度に焦点を当てて HDR コンテンツに最適なモニターを選定するなら、有機 EL モニターになります。
有機 EL モニターというのは、電圧をかけると発光する性質を持った素子を使っているので、ドット単位で制御でき、当たり前ですが発光しなければ真っ黒です。
液晶テレビは、バックライトで全体に発光させているため、
黒の表示は「発光させない」ではなく「発光はしているが黒に見せている」なので、真っ黒にはなりません。
素材の違いから有機 EL は真っ黒の表現が出来、コントラストが高く色再現性も高いので、
モニターの中では一番 HDR コンテンツを再生するのに最適なモニターと言えます。

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