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流行

今朝、パソコンを開くと2つのトピックスが並んでいた。
(昨年の子どもの自殺、過去最悪の512人)と、
(Z世代の5割「子どもをほしくない」)だ。
記事の内容はともかくとして、どちらのタイトルからも明るい未来は見いだせそうにない。月の初日、これから桜の季節もくるというのに、お粗末なこの国のかたち。しんみりな気分で朝のコーヒーを飲んだ。
が、呑気に構えてもいられないとも思う。今日は3月1日、綺麗事ではない思いを綴ってみたい。

先月、うっかり階段から転げ落ちて骨折をした。幸い大袈裟な事態からは免れたものの歩行が困難で、しばらくの間、車椅子を借りた。大きくて細い車輪を手で回すタイプの、最近ではスーパーマーケットやショッピングモールの入口付近にも常設されている車椅子であるが、市のボランティア団体が無償でレンタルサービスを行っているのを知り、助かった。折りたたんで車の後部座席に載せ、必要なときは使う、そんな非日常が1週間ほど続いた。

私はここ数年、月に2~3度ながら、あるスポーツのボランティア活動を楽しんでいるのだが、そういう身からすれば、自分が車椅子で移動するというこの体験を、むしろ貴重な体験と捉え、気持ちは前向きに、率先して乗るように努めてみた。同伴者も、肩を貸し、超超スローペースで歩く私に付き添うよりは車椅子を押す方が断然ラク、と新鮮すぎる本音を吐いた。

そんなある日、私は1人でショッピングモールへ行ってみた。

1⃣駐車場
証明書など持ち合わせていない一時的な存在である自分は、当然、車椅子スペースに駐車できないと察し、並のスペースに駐車した。ちなみに骨折足の都合、運転はできる。HPで館内は50%以下の表示だったものの店内への出入口付近は混雑、停めることができた場所を遠く感じた。車椅子を降ろしワンタッチで広げて座る。ゆっくり車輪を回し道なき道を動き始めた。腕に力もいる。駐車場では最徐行のはずが、車のスピードはそうでもない。軽自動車でも速く感じた。ランダムに行き交う買い物客や押されるカート、家族連れの広がりの輪、それらに自動車が相まって、危険この上ないと思った。ひとけの少ない中二階のスペースに停めるが吉だと思ったが、店内への車椅子用通路はなかった。

2⃣エントランス
駐車場から店内入口までの歩道を車椅子で進むと、普段は気づかないことに気づく。自転車乗り入れ禁止区域であるのに並列で乗り入れてくる男子高校生に、私は車輪の回転を止め急ブレーキをかけた。彼らが私とすれすれに走り去る。こんなに怖いのか、と驚く。車道から脇目もふれず飛び込んでくる兄弟とおぼしき子どもも危ない。清掃され清潔だったはずのコンクリートにアイスクリームの包紙、紙くず、カラのペットボトル。数え切れないほど訪れているモールの知らなかった世界だった。

3⃣店内
当然ながら車椅子で移動するとカートは押せない。カゴも持てない。両手は車輪を回すためにあけておかなければならないからだ。希望する買い物は物理的に無理だと感じた。

4⃣店内2
膝の上に載せれるだけの買い物に切り替えて進むと、スマホ歩きの女子高生にぶつかりかける。彼女たちは画面しか見ていなかった。買い物専用のスマートフォンも店内専用の割引アプリも、画面を見たり、見るために急に立ち止まったり引き返したりで危険極まりない。スマホを持たないご婦人はカートを縦に押して生鮮食品を見たまま立ち止まっているから、その商品にたどりつけない。買うのは諦めて陳列通路へ行くも棚の通路も決して広くはない。商品管理や並べている店員がいると、その通路に入っていく気がしない。

5⃣レジ
いつもならセルフレジ、でも買い物が少なかったので人員のいるレジで精算した。ここも通路が狭い。ただレジ打ちの男の子(アルバイトか?)は大いに気を使ってくれた。というか、親切だった。が、残念なことに対応に慣れていない。商品をカゴに入れ直し、精算機まで運んでくれたのだが、精算機のまえでパートらしき女店員が「ちょっと前に詰めてもらえますか」と言ってきた。近い精算機を選んでくれたことがアダになったのだ。詰めるといっても車椅子では動きようがない。車椅子はカートではないのだ。振り返って後ろの客との距離をはかるも動けないでいると、前に詰めてもらえますか、ともう一度言ってきた。スマートレジやセルフレジの普及で体制が変わり、レジから出た付近に点在する女店員。まぁ普段から役にたってると思っていなかったが、確信になった。

6⃣結論
1回で嫌になった。カオスすぎた。

7⃣考察
この度の経験で一番大事なことに気づいた。
車椅子での目線は、小学生の目線とも言えるってこと。高さが。
子どもたちが見ている景色はこんなにもカオスだったのか、と。



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