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ふたりの肩に 銀色の雨

永六輔、中村八大。今でもアグレッシブに生き続ける両先生の名曲に「黄昏のビギン」がある。先日あわぎんホールで開催された小林幸子&東京室内管弦楽団のプレミアムコンサートで、"さっちゃん"こと小林幸子も歌唱されていた。もともとは、ちあきなおみの曲。いや、もっと遡ると、水原弘の曲だったらしい。どちらにしても「ご本家版・黄昏のビギン」は、もう音源でしか聴くことができない。そんな曲をコンサート当日のさっちゃんが、宝物を抱くように歌われた。あまたある自身のヒット曲を差し置いて選曲されているわけだから、とくべつな思い入れがおありなのかもしれないと感じながら聴き入った。

黄昏のビギン。
歌詞をググってみると、スクショー画面に収まってしまうほど短かかった。短いわりに、一読するだけでは歌詞の意図がよくわからない。

あなたと会った はじめての夜
ふたりの肩に 銀色の雨
あなたの唇 濡れていたっけ
      (原文のまま)

再度、読み返してみても、わからなかった。

歌にすればメロディーがつく。しっとりとした音の趣が、気ままに浮かんでいる詞をつかまえて、私の心に連れてくる。
意図などは、と思う。
歌詞の背景など、わかってもわからなくても構わないではないか。と。
でもただそのときの声はやはり、ちあきなおみがいいと思った。

実はさっちゃんだけでなく、さまざまなアーティストがこの曲を歌っている。レコーディングしてアルバムに収めたりライブで歌ったりしていて、ジャンルを問わず、多くの歌声に愛されているのだ。
とはいえ、やはり、ちあきなおみだな、と聴くたびに思う。
YouTubeかなんかで、一度聴いてみて下さい。黄昏のビギン。すこぶる良かです。それはまるで、小林幸子が歌う千本桜みたいに、良かです。

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