函館旅行記(その2)

 前回 (函館旅行記(その1)|ねものろーぐ (note.com))の続き。今回は1日目の夕方まで。

2.5月18日(土)昼~函館空港まで~
 函館行きの便は、定刻の12時55分に無事出発。機内には、前、右、左の各座席ブロックに赤ちゃんがいた。右の子はすやすやと眠っていて、前の子と左の子は思いっ切り泣いていた。それぞれのご両親は恐縮しきりだったけれど、元気でかわいいなぁと思ったし、周りのほかの方々もそうだったのだろう、思い思いにあやしたりにこにこ笑いかけたりしていた。赤ちゃんってなんてかわいいんだろうと思う。ましてご両親にとっては本当に宝物なんだろうな。たくさん愛情を浴びて育ってね。函館楽しいといいね。

 同行者が横で眠り始めたから本を読む。『理由のない場所』を持ってきたつもりで『千年の祈り』を持ってきていて笑った。まぁいいかと思って『千年の祈り』にする。「不滅」、「ネブラスカの姫君」、「市場の約束」、「死を正しく語るには」の四篇が好きで、それらを読む。

 機内サービスのタイミングで右隣の赤ちゃんが目を覚ます。本を読んでいるのが不思議なのか、じーーーーっと見てくる。視線を感じてこちらが顔を上げると、ぷいっとそっぽを向いて寝ているお父さんの胸に顔をうずめてしまう。本に戻るとまたじーーーーーっと見られる。そちらを見て目が合うとまたぷいっとそっぽを向かれる。次は驚いたような変な顔をしてみると笑ってくれてあたたかい気持ちになる。

 あっという間に函館空港に着く。機長が現地の気温や天気をアナウンスするのが好きだ。行ってらっしゃいと言われているように思う。

函館空港の到着ロビーに抜けるゲート。

3.5月18日(土)夕方まで
 函館空港に着いてまず何をするかは考えていなかったけれど、到着ロビーに温泉×ラーメンという企画が展示されていて、そこで紹介されているラーメン屋さんに行ってみようということになった。

 当地の交通事情には全く明るくなく、目的のお店も空港からさして離れていないみたいだったから、タクシーで移動。運転手さんにお店の名前を伝えるもピンと来ていない様子で、温泉宿の方の名前を伝えると、「ああ、○○さんね。もう受付やっとるかねぇ」と言われる。「そこに泊まるわけではなくって」と受けると、どの辺のどのホテルに泊まるのかを根掘り葉掘り聞かれて戸惑う。同行者と目を合わせて苦笑いする。運転手さんの思う函館のいいところを色々話してくれる。それさっきもあなたから聞いたよ~という気持ちもよぎってしまうけれど、観光客に楽しんでいってもらいたい一心なのだなと思ってありがたい親切だと受け取る。

 適当なところで下ろしてもらってラーメン屋さんに向かうも、ついさっきお昼のラストオーダーが終わってしまったのだという。あらまぁという感じで、ちょっと歩いたところにある別のお店に入る。長くその地でやってきたような佇まいのお店だった。塩ラーメンと餃子を注文する。餃子は5個と書いてあったが、ふたりで来ているからか1個おまけしてくれていた。

塩ラーメン。
おまけしてくれた餃子。塩で食べてもおいしい。



 ごちそうさまでした。おまけしてくれてありがとう、餃子もラーメンも美味しかったですと伝えて店を後にし、最寄りの停留所で路面電車を待つ。路面電車がある街がとても好きだ。豊かなところという印象がある。また、車両が地元の企業等の広告媒体にもなっていて、それぞれに特徴あるデザインや色使いで目にも楽しい。バスに比べて揺れも少ないし定時運行性が高く、逃しちゃったかなとかいつ来るんだろうとか、そういう要らぬ不安を感じるストレスも少ない。

路面電車。「うみしん」というのは道南うみ街信用金庫の愛称らしい。爽やかなブルー。


 投宿先のホテルにチェックインをして荷物をばらし、身軽になって出かける。今日は五稜郭に行こうと話す。港とか元町の方に行くのは明日。せっかくだからレンタサイクルで回ろう。きっと気持ちがいいよ。

 五稜郭公園前の停留所に着いてまず、丸井今井函館店に入る。日傘を持ってくるのを忘れたから帽子を買いたいのだという。1階のコーナーに陳列されているものはどれも結構年齢層が上なようで、ゴルフコーナーとかの方がいいの置いてあるかもと話す。案の定ゴルフコーナーには日差し対策よしのキャップが並んでいる。Le Coqの黒、Munsingwearの柄がたくさん入った紺、同じくMunsingwearのシンプルめながらつばやベルトの部分がトリコロールになっている紺とで悩む。それが好きかなぁと言ったら最後のを買っていた。根気強く対応してくれた店員さんから「今日はよく晴れているので函館山に上って夜景見てくださいね!」と言われる。間に合いそうなら行こう。

買ったキャップ。地の色と同色で施されているたくさんのペンギンの刺繍もかわいいポイント。

 五稜郭タワーに上る。もう16時30分になっていて、さすがにお客さんもさほどは多くない。混雑していなくてラッキー。エレベーターで昇る間ガイドさんが五稜郭の説明をしてくれる。聞きやすい声で淀みがなく、ぴったりの尺で終わる。多分録音じゃないのだけれど、録音かもしれないと思う。一日に何回くらい言うのだろう、噛むこともあるのかなと、説明とは関係のないことを思う。

 上から見た五稜郭公園はテレビや雑誌でよく見るとおりの五芒星で、五月らしい青々とした新緑が実に美しかった。すっかり晴れているからずっと遠くまでも見渡すことが出来て、空港や競馬場も見える。函館港の方を見やると日にきらめいていた。

五稜郭。
函館の市街地ときらめく海。

 タワー内にジェラート屋さんがあった。ふたりともジェラートには目がない(ジェラートの美味しいお店教えてください。)。せっかくの函館のジェラート屋さんなんだから!と、ハスカップととうもろこしのダブルにする。北海道だなぁという組み合わせ。とても美味しくて幸せ。

 五稜郭公園を散歩する。晴れていて、夕方の風が心地好い。生い茂る草木がさわさわと鳴って白と紫の藤棚が濃密に香る。傾き始めた日が群青の空を、ゆっくりと白さを残しながら明るく朱く染める。たんぽぽが至る所に群生していて、完璧な球体を保った綿毛が揺れる。赤白桃。色とりどりの躑躅が咲き誇っている。五感を開放して、一周ぐるりと楽しみ、その後タワーに戻って一階の売り場でお土産を買う。

一の橋付近から見た五稜郭。
藤棚。
葉越しに透ける夕方の日。
躑躅。
五稜郭タワー。
雀が三羽。影絵めいていてお気に入り。
藤棚。
航空機。


かわいい花。マーガレット?

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?