お仕事日記 11話

 …あの夜以来、二人には一度も会えていない。別な人たちがぼくの所に来て、積んであった無線を持って行った。動いちゃいけない理由があるんだろうけど、何も分からないのは不安だな。…いぶきとしまを乗せて走ることは、もうないかもしれない。二人のことだから、クズミのことは諦めてないと思うけど…。

 …あれ?ここのえくんが走ってきた。わざわざ動きにくいぼくに乗るってことは、何か緊急の仕事なのかな。よし、行くぞ!

 東京湾の、クルーザーが留まっている港に到着した。いぶきとしまは、この近くにいるはず…あ、いた!二人とも、お待たせ!…理由も言わずにぼくを置いてくなんて、水臭いぞ!でも、なんで二人ともびしょ濡れで、しかも同じTシャツ?…ツッコミ入れてる場合じゃないか。ぼくも、テンション上がるー!!しまがいぶきに謝るのなんて、初めて見たな。相棒でも、知らないことはあるんだね。わ、後ろのドアは閉めてないと危ないって!…急いでクズミを追いかけるよ!

 急いでクズミを見つけないといけないのに、人混みのせいで上手く進めない。こういう時は…パトランプの代わりにアレだよね。いぶきは忘れてるみたいだし、ここのえくんは知らないと思うけど。ね、しま?

 …久しぶりに歌ったら、前の人たちが気づいて道を開けてくれた。これは、ぼくのお手柄だよね!…あれ、もしかしてしまも歌ってくれた?え、どうして石投げられるんだろう?理由は分からないけど、ぼくが警察車両だってバレてるみたい。だから動けなかったのかも。ところで、つぶったーって何?

 クズミが屋形船に乗ってるのを見つけるなんて、いぶきはホントに目が良いね。よーし、行ってこい、相棒!…もちろん、ぼくも行くよ!彼を追ってる間に、いぶきはあの屋形船に飛び降りていたらしい。…あ、クズミ!いつの間に飛び上がったんだろう?…今度は絶対逃がさない!待てー!

 しまとぼくたちとで挟み撃ちにしたら、クズミは屋形船に飛び降りていった。船が橋をまたぐ間に、彼は頭を打ったみたいだ。すぐにでも追いかけたいけど、救急車が来るまで待つことに。二人もクズミも、大丈夫…?

 …なんとかクズミを逮捕出来たみたい。でも、二人とはこれでお別れか…。ぼくは、いぶきとしまの相棒になれてホントに良かったと思ってるし、この先もずっと忘れないと思う。二人とも、今までありがとう!!

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