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美和のサクラソウの開花調査(2021.5.9)

 西中国山地自然史研究会スタッフ、関係者7人で、高原の自然館の白川学芸員の指導のもと、サクラソウの開花調査をしました。
 自生地につくと、サンコウチョウの鳴き声が聞こえ、しばし聞き入りました。他にも、ツツドリのポポン、ポポンという鳴き声も響いていました。

開花調査の方法
 

 美和のサクラソウは、他にはない遺伝子の個体群で、花の姿にも様々な違いが見られます。
 エリアを仕切って、その中で咲く株数を数えて記録するのが本日の作業です。二人一組で見逃さないように、そしてどのタイプの花かを見極めます。観察するポイントは、(1)花弁の色(2)裂片の形(3)裂片の感覚(4)中央の白い部分(5)そのほか花茎の高さなど、です。
 今回は10種類に区分したものを資料に、花に顔を近づけ、ポイントを探ります。二人一組なので、お互いに意見を言いながら、株数をカウントします。
 多いところではひとつのエリア内に186株のところもありました。反対に、0株のエリアもあります。
 これらは日照時間や地面の乾燥の具合などで変化があるようです。今年は3月末にヒノキを2本伐採したので、日当たりがよくなっています。この影響は、今年すぐにはわかりませんが、調査を続けることで明らかになってくると予想されます。

調査を終えて

 今回の株数は673株で、前年の787株から減少傾向でしたが、白川学芸員によると今年は開花時期が早いことが関係しているのではないか、このくらいの数の変動はあり得るだろうとのことでした。
 この付近にだけ生育すると考えられている美和のサクラソウの希少性を考えると、以前より個体群数が減少しているサクラソウの保全が大変重要なミッションとなります。保全の方法を確立し、サクラソウが生育する環境を維持するためにも、今回の調査は意味あるものだと思います。
 これからも、地域の方や会員のみなさま、専門家の力をお借りして、いつまでも美和のサクラソウを愛でることのできるようにしたいと思います。

スタッフの感想


・サクラソウには様々な形があり、楽しい調査になった。
・今回伐採したヒノキの切り株から下の個体数が少ないので、伐採がどう影響するのかが気になる。また来年も調査したい。
・山仕事をしていると、多様性を意識する機会が多い。こんなに小さなエリアでこれだけサクラソウの多様性があるのは種を残すために有利なのか?どういう意味があるのか?など興味がつきない。
・形質の違いがこんなにあるとは。弱いからこそリスクに備えているんだろうか?今後を見守りたい。
・サクラソウが愛らしいので、昔の人が愛でる気持ちがよくわかった。
・サクラソウの数の適性をみながら、保全活動を進めたい。

最後に

 調査のため、柵内に入りましたが通常は禁止されています。
 花はもうしばらく観察できそうです。自生地は公開されていますので、ぜひ行ってみて下さいね。柵の外からそっと観察おねがいします。遠くの個体を見るには、双眼鏡があったら便利ですよ。

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