ドミニオン最弱カード列伝②役人

さて第2回は基本から役人です。

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勝利点カードをデッキトップに置かせる効果は、枚数制限がない点で他のハンデスやデッキロックより強力。自分への効果はデッキトップに銀貨を獲得するというもので、次のターンに銀貨を即使用することができます。このカードは以下の統計を見ても、購入される割合がとても低く、購入された時の勝率も50%を大きく下回るというデータになっています。なぜこのカードが弱いのか、銀貨獲得効果とアタック効果の両面に注目して解説していきたいと思います。

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まずこのカードの銀貨獲得効果がいかに弱いかというところを、ドミニオンにおける銀貨の位置づけを考えながら説明していきたいと思います。

ドミニオンにおける銀貨の位置づけ①5金への足掛かり

ドミニオンにおける銀貨の位置づけとして、一つ目に5~6金のカードを獲得するための手段が挙げられます。銀貨を持っていない場合、例えば初期デッキ(銅貨7枚、屋敷3枚)で5金を出すためには手札全てが銅貨である必要があります

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初期デッキ7枚の銅貨のうち5枚を1ターンに引かなければならないのでその組み合わせは7C5=21通りです。(7枚の銅貨をそれぞれ区別したと考える)ところが初期デッキに銀貨が2枚を加えれば次のような手でも5金を出すことができますね。

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この手札になる場合の数は2C1*7C3*3C1=210通りあります。ほかにも5金を出せる手札はいくつか考えられます。デッキ内に銀貨を入れることによって屋敷が手札に来た際にも5金を出せるので、5金が出る確率が大きく上昇することがわかるでしょう。

(本質的には場合の数ではなく確率を覚えなければなりませんが、様々な場面に応用して考えるためには場合の数の考え方を頭に入れておいたほうがいいでしょう。)

ところが銀貨と銅貨だけで8コストの属州を購入するのは少し難しいのです。例えば次のような手札なら8金になりますが....

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この手札は屋敷や属州を引いてきたときには実現しないですし、銅貨も7枚中2枚しか許容できません。そのため、銀貨は5金や6金への足掛かりとしての役割が大きく、そこで強力なカードを購入しそのカードのパワーで属州を購入するというのがよくある流れです。

さて、本題に戻りましょう。次のような手札を考えます。

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ここで役人をプレイすればデッキトップに銀貨を獲得し、次のターン5金出やすくなります。でもちょっと待ってください。そもそもこの手札で役人が銀貨だったらすでに5金が出せています

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5コスト、6コストのカードへの足掛かりとしてはわざわざ役人を経由する必要がないのです。最初から銀貨を買いましょう。1ターンの遅れは後々響いてきます。

ドミニオンにおける銀貨の位置づけ②引き切りデッキでの金量源

初期デッキの屋敷や銅貨を廃棄して、村鍛冶で手札を増やしたりして引き切りデッキを作ったとき、金量を確保する意味合いで、銀貨を毎ターン増やせるのは強そうです。例えば以下のデッキから1枚ずつ銀貨を買っていくより役人で毎ターン銀貨を取っていく方が効率がいいように見えます。

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しかし銀貨を獲得するのならば工房系のカードを使った方が、状況に応じて村や鍛冶屋を獲得できる分優秀です。そもそも工房系のカードがないと村鍛冶を組むのが難しいため、役人を買わなければならないシチュエーションは少ないです。

それに加えて、銀貨をデッキトップに獲得してしまうので次のターンに残りの手札4枚から村鍛冶を起動しなければならず、成功する確率が下がってしまいます。

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最後にアタック効果についても触れていきたいと思います。アタック効果自体は面白い効果ではありますが、相手にダメージを与えるには少なくとも毎ターンプレイする必要があります。しかしこのカードは自分のデッキトップに銀貨を獲得するため、それが難しい。何とか銀貨を有用に廃棄するギミックを作れればよいのですが、それができるサプライならば相手は屋敷くらいとっくに廃棄できているはずです。

まとめると、「銀貨を獲得するだけ」の効果は使いどころが難しく、アタック効果との相性も悪い。このカードを購入する目的が見出しにくい。ドミニオンでは「テキストだけ読んで強そうに見えるから買う」のではなく、現実のお買い物と同じように、自分の構築に必要なものだけを買うようにしましょう。


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