慣れてない空想は難しい

好きな小説として「新世界より」を挙げる。

これは、1000年後の日本を舞台に、一度朽ちた文明が呪力を伴い新しい文明を築き上げた。そこで暮らす少年少女の物語である。

好きなところを挙げ始めればキリがないが、特筆すべきところとして世界構築の秀逸さに目がいく。

文明が一度滅び、再生しているからか、今の時代と比べるとどこか原始的。しかしそこには一つの不純物もないせいで、病的に美しい日本、とまで言われている。
それに加え、呪力の力、不自然な噂話、バケネズミと呼ばれる不気味な生き物など、一口に語れないほどの作り込みが読み手を飽きさせない。

こういう小説を読んでいると、自分にもこんな話が作れたら、と物思いに耽ることがある。

結果として、薄っぺらい理想郷が一つ出来て終わりである。

世界構築をする際、必要になるのは理想論を語れる熱量ではなく、多方面からの視点で物事を考えられる冷静さだ。

光あるところに影があるということに気付いているか、またそのどちらにも属さない無色な感情を汲み取れているか。

これをやるには、自分はまだ経験値が足りなさ過ぎる。

自分の感情ばかりと向き合って、他人に目を向けたことのない人間には無理である。また、人のことばかり考えている人にも無理だろう。

どちらもできて初めて世界構築に踏み込めるのかもしれない。

少なくとも、普段からえっちなことばかり考えている自分には無理な話だ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?