ヘロデがサロメにもJCSにもいるという話

戯曲『サロメ』を読んでから「お前の口に口づけしたよ」とサロメがしつこく何度も言っているシーンがクセになっている昨今、皆様におかれましては健やかにお過ごしのことと存じる。いや、健やかではないかもしれない。毎日暑すぎるもん。

さてその『サロメ』であるが、新約聖書が下地になっているそうだ。
新約聖書といえば『JCS』こと『ジーザス・クライスト=スーパースター』も同じく新約聖書を下地とした作品である。
ということは同じだったり関連があったりするキャラがいるのかな?と思い調べてみた。オタクのやりそうなことである。

なお当方、キリスト教には全然詳しくない。某立川でバカンスを過ごす神様の漫画を面白がれるくらいの知識と宗教観である。

そんな浅い知識の私がネットを駆使して調べたところ、サロメに出てくる預言者ヨナカーンは新約聖書の洗礼者ヨハネがモデルらしい。このヨハネはジーザスのいとこに当たる人物で、ジーザスの誕生を予言し、生まれてから洗礼を与えている。親戚の頼れるお兄ちゃんポジだ。そうなのか?

ヨハネといえばミュージカルの方にはジーザスに「ヨハネもう寝た?」と言われているヨハネがいるが、これはジーザスの弟子の方のヨハネなのでヨハネ違いである。ヨハネいっぱいいるよね。

なおシモンは元々この洗礼者ヨハネの弟子だったそう。なるほどそう言われればジーザスへのあの熱狂ぶりも分かる。かつての師が死ぬ前に示した後継者でしかも血縁者だ。そりゃあ全力で応援するだろう。世が世なら事務所を立ち上げ全国ツアーを組み、グッズも作ると思う。偶像崇拝は禁止だからイニシャルブレスとか、あとうちわとサイリウムも忘れない。予算の関係で財務担当のユダとバチバチの仲になりそうだ。

と、ヨハネを調べただけで戯曲『サロメ』が『JCS』以前のお話ということが分かった。サロメはヨナカーンと同じ時に死んでいるのでこのミュージカルに出てくることはない。ひょっとしたら最後のスーパースターのナンバーで出てくるソウルガールに化けて出てきているのでは?とも思ったが、サロメはヨナカーンが好きだし、別に縁もゆかりもないユダがカッコつけて歌っているところで「あーしカンケーないんでぇ」とかギャル語で断って出てこないだろう。なんでサロメギャル設定なん?

さて、あと『サロメ』に出てくる名付きのキャラはエロドとエロディアスだ。
ということでエロドを調べていく。

エロドはヘロデがモデルだということは分かっていたのだが、なんせヘロデ一族というくらいだ、ヘロデがたくさんいる。
どのヘロデだよう、と思いつつ、意外と面白く各ヘロデの話を読みながら探していくとヘロデ・アンティパスがモデルだと分かった。
そこでさらに調べた結果、エロドと『JCS』のヘロデは同じヘロデ・アンティパスがモデルだということが分かった。つまり同一人物である。

おお!漫画等で見るスターシステムみたいだ!
いや待て全然違うぞ、落ち着け自分。

しかしこれは嬉しい発見だ。
もしかしたら『JCS』のヘロデ王のナンバーで出てくる取り巻きの中にエロディアスがいるかもしれないのは胸熱である。
あの熱気と狂気の渦巻くセピア色の空気の中、突然始まる白々しく軽妙で絢爛なヘロデ王のナンバーはただでさえ面白いのに更に楽しみ方が増えるとは!
ヘロデ、何と美味しい役なのだろうか。ちょろっと出てくるだけのくせして。

そして『サロメ』を『JCS』の前日譚と思うとそれぞれの作品自体をまた違った趣で楽しめそうでそれもまた良い。
その辺りを踏まえながら現在全国ツアー中の『JCS』を見てこようと思う。

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突然のCMを雑に叫んで終わる。

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