見出し画像

対象者広がる団信保険 既往歴ある人が加入できるものも

はじめに

住宅ローンを組む際には、団体信用生命保険(団信)の加入が義務付けられるのが一般的です。
団信とは、ローン契約者が死亡もしくは高度障害状態になった場合、保険金で残りのローンが清算されるというものです。
返済が長期にわたるだけに、金融機関にとっても契約者にとっても、安心を提供してくれる仕組みと言えます。
近年では死亡等に加え、3大疾病、7大疾病、8大疾病と保障範囲を広げる流れが続いています。
既往歴とはこれまでかかった病気などの記録のことです。

団信にも様々な商品が

一方、健康状態によっては団信に加入できず、住宅ローンが組めないケースもあります。
そこで、保障範囲を広げるだけではなく、加入対象者を既往症のある人にまで広げた「ワイド団信」があります。
一般的な団信の場合、契約者に直接の負担は発生しませんが、ワイド団信は住宅ローン金利に所定の金利が上乗せされます。
現在はソニー銀行の0.2%が最も低く、それ以外はほぼ0.3%です。
金融機関は多様な団信を扱っていますが、商品ごとに引受生命保険会社が異なることもあります。
下表はワイド団信を扱っている金融機関と上乗せ金利、引受生命保険会社の例です。

ワイド団信に加入できそうな疾患は、高血圧症や糖尿病、肝機能障害など、幅広いようです。
持病があるため住宅ローンを諦めていた人にとってはうれしいことですが、ワイド団信だからと言って必ず加入できるとは限りません。
ワイド団信に加入できない場合、住宅金融支援機構の「フラット35」なら団信加入が任意なので、住宅ローンを組むことができます。
ただし万一の場合、ローンが残ってしまいますので、資産と負債のバランスや、万一の場合の対処法など、慎重な判断が求められます。

加入対象者を広げる動きは「がん団信」にも及んでいます。
がん団信とは、がん保障特約を付けた団信のことです。
この特約を付けていれば、契約者が「初めてがんと診断された」場合、その時点のローン残高が支払われます。
注目度が高い特約ですが、がん既往歴がある人は加入できないのが一般的です。
しかし、既往歴があっても加入できるがん団信が販売されています。

申込時の告知内容を査定し、がん罹患(りかん)経験があっても引き受け可能と判断した場合、引き受け条件を緩和するための特則・特約を付帯することで、がん保障部分の引き受けが可能となります。取り扱うのは2001年に日本で初めてがん団信を発売したカーディフ生命保険で、20年以上のデータの蓄積を基に商品化につなげられたと思われます。
上乗せ金利は各金融機関が独自に設定しています。

団信のコストは返済期間中かかり続けます。
既に加入している生命保険も考慮して、要・不要を検討することと、何よりも適切な住宅ローン設計が基本であることは言うまでもありません。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?