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70歳まで働くには 必要とされる人はどこが違う

はじめに
 「70歳まで働きたい」と考える40代からの相談が増えています。
 「歳を取っても長く働ける会社を紹介してほしい」という声もあれば、「45歳までは会社のために働いてきたが、人生後半は自分らしい働き方を追求したい」と言う人もいます。
 ここ数年、人生100年時代をキーワードに就業期間の長期化についての議論が盛んになってきました。
 60歳を超えても現実に社会で必要とされる人材になるには、どんな条件が必要なのでしょうか?
 2021年4月に改正法が施行された「高年齢者雇用安定法(高年齢者等の雇用の安定等に関する法律)」は、その名称の通り、高年齢者の安定した雇用の確保を目的としてつくられたものです。  
 この法律はもともと1971年に「中高年齢者等の雇用の促進に関する特別措置法」として制定され、以後、改称や改正を重ねてきました。
 最新の改正は2020年ですが、その前は2012年に改正され9年前の改正時には、以下の2点が主眼でした。
1.2012年改正高年齢者雇用安定法における高年齢者雇用確保措置
 ・定年を60歳未満とすることの禁止
 ・65歳までの雇用確保措置――以下3つのいずれかの措置を事業主に義務付け
 (1)定年を65歳に引き上げ
 (2)65歳までの継続雇用制度の導入
 (3)定年制の廃止
 2020年時点では日本の人口1億2617万人のうち、65歳以上の人口は3589万人で、総人口に占める割合は28.4%に達しています。
 少子高齢化が進んで労働人口が減少している環境において、高齢者を雇用することで労働力を確保しようという狙いが直近の改正にはうかがえます。
 少子高齢化によって深刻な状況に陥っている公的年金を維持するために、政府は公的年金の受給開始年齢の段階的な引き上げを意図しています。
 しかし、これまでの「定年も年金受給開始も60歳」を「60歳で定年、65歳で年金受給開始」にするだけでは、5年間の空白期間が生じます。
 そこで高年齢者雇用安定法に定年の引き上げや65歳までの継続雇用などを盛り込み、「年金をもらえる65歳までは働く」という社会を作ろうとした背景があります。
 一方で、国家としての課題は理解できても、営利を目的として存在している企業は、そのしわ寄せを高齢者の雇用で解決しろと迫られても、雇用原資も限られていて、リストラなどを活用して人件費をより筋肉質にしていきたいと考えているタイミングで、簡単に定年を廃止したり、60代を積極的に雇用していくわけにはいきません。
 逆に役職定年や早期希望退職で組織の縮小と世代交代を促しているのが現実です。
 ここに政府と経済界の雇用政策についての最大のずれがあります。
板挟みになった労働者が右往左往する状況も生まれ始めています。
しかし、この問題は、政府や企業・経済界に任せているだけでは決して解決しません。
 30歳以上の労働者は、自分の人生後半戦のキャリアを国や企業頼みにするのではなく、自己防衛策を考え、実行していくしかないでしょう。
まず、この視点の切り替えが大前提として必要不可欠です。
2.生涯キャリアをセルフマネジメントする時代へ
 自分のキャリアは自分で守るしかなく、自己防衛しながらいかにキャリア形成していくかはとても難しい問題です。
 企業に依存してきた時代が長く、そのトレーニングをしてきたわけでもない。
 前例もなく、経験もない。
 「どうすればいいのか?」と思って当然のことです。
 しかし、この課題には自分の頭で考えて対峙していくしかありません。
 これは、嘆いても仕方がない現実の問題です。
 ここを生き残るには、以下に五つの前提を頭に入れておくことが重要だと考えます。
(1)70歳まで働ける職場や、70歳まで働ける仕事は、なんて用意されているわけではない。
(2)成果主義が浸透しており、仕事で成果を生み出せる場合には70歳まで働けるチャンスが
巡ってくる可能性が高い。
(3)決して受け身にならず「必要な行動は何か?」「どうすればそれを知ることができるか?」
を考え、すべて自分の手で入手する。
(4)もし今、49歳以下だとすると、自分が55歳を超えて雇用されている状態や、その延長線
上にある60歳、65歳の自分の仕事力を想像しておく。
(5)50歳以降に仕事で成果を出すために、30、40代のうちに「どんなスキルの選択肢を貯金
できるか」を考え、自分が考えるリタイア時期から逆算して実行する。
最低でも、これらの前提を頭に入れ、常識を塗り替えておく必要があると思います。
3.必要とされるシニア人材になるために
 先に挙げたような前提を頭に入れたうえで、さらに職業人生の最終期に、世の中に必要とされ、活躍できるシニア人材でいるためにできることは何があるでしょうか。
 大企業を退職して50、60代になっても社会の第一線で活躍している人は、数多くはありませんが、多様な業界や職域にいます。
 それらの人に共通することを含めて、2020年以降に30年代に活躍できるシニア人材のポイントを共有したいと思います。
(1)自分の身の回りのことは自分でできる
 あまりにも身近な話ですが、たとえばパソコンやスマートフォンの設定や、エクセルを使った
 簡単なデータ処理、スケジュール管理や日程調整、経費精算など、仕事をしていく上で必要な
ことは自分でできる力は必要です。
 もともと大企業の重役だったシニアで、昔は秘書にすべて任せた人でも、ゼロから自分で勉強して日常的にこなしています。
(2)新しいデバイスやウェブサービスを使いこなす
 オンライン会議ツールやビジネス用クラウドサービスなど、日々働く環境は進化しています。細かいことのようですが、これらのツールを使いこなさないと、連絡や情報が途絶していきます。
 周囲の変化に合わせられなければ、相手側に自分に合わせることを強要しているのと同じ意味になってしまいます。
(3)気張らず威張らず、一兵卒として働く意識
 ダイバーシティー(多様性)をはじめとして、ビジネスの現場はどんどんフラット化が進んでいきます。
 過去の職歴や役職は横に置いて、老若男女に関係なく、協働性高く働ける資質も不可欠です。
(4)過去の成功・失敗体験を否定できる
 「昔はこうやって成功した」「以前同じことをやってダメだった」。
 社会人経験が増えるほどに成功体験や失敗の記憶が累積していきます。
 しかし、時代や環境が変わると、必ずしもその法則は当てはまりません。
 自分の中の体験にしばられずに、新しい時代に向き合えるかどうかが問われます。
(5)雇用形態や役割にこだわらない
 社会人としてのベテランを迎える側が最も気にすることの一つが待遇です。
 スタートアップや中小企業では、正社員で高い年収を払って受け入れる余地がない企業も多いのが実態です。
活躍できる場所を得ることを目的にするなら、働き方や収入については柔軟である必要があります。
(6)若手社員の自然なメンターになる
 これみよがしに世話を焼くわけではなく、特に経験の少ない若手社員にとって“心の非常口”になるような存在感を持てると、ベテランとしての意味が出てくることがあります。
 コミュニケーション上のトラブルへの対処などで、不要なロスを回避できると信頼度も高まります。
 これらのポイントを押さえておけば、シニア人材として活躍できる可能性が広がります。
 いきなりすべてを身につけるのは大変なので、早いうちから意識やスキルを、新ステージに向けて整えていくことをおすすめします。

70歳まで働きたい人のためにどうか?参考にして下さい。

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