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「生前贈与」のルールが変わる

12月31日がリミット

 岸田新政権が発足してからというもの、相続専門の税理士法人トゥモローズの角田壮平氏は気が気でないといいます。

 岸田総理は『成長と分配』というスローガンを掲げていますが、この『分配』とは、要するに増税のことでしょう。

 この数年、政府と財務省は税制改正大綱で再三にわたって贈与税・相続税の抜本的な制度見直しを予告してきました。
 12月に発表される来年度の税制改正大綱で、それがついに断行されるのではないかと危惧しています

 このところ毎年、贈与・相続についての制度変更が相次いでいます。

 一昨年の税制改正で「おしどり贈与」の改正や配偶者居住権が新設されたかと思えば、昨年の税制改正では教育資金贈与特例の適用条件が厳しくなったことも記憶に新しいでしょう。

 だが税理士たちは、2022年に待ち受けている税制改正こそ「本丸」だと口を揃えるでしょう。
 生前贈与の制度が激変し、これまでは許されてきた、さまざまな節税対策が潰されてゆく彼らはそう見ているのです。

 すでに税理士事務所の中には、税制改正に先手を打つため『駆け込み贈与』で節税対策をしよう、というPRに力を入れているところも増えています。

 来年度から何が起きても対応できるようにするには、素早く対策を始めないと間に合わなくなるので、まず一刻も早く手をつけるべきは、生前贈与の「基本中の基本」ともいえる暦年贈与です。

 子や孫に対して年間110万円まで非課税で贈与できるしくみだが、これが狙い撃ちされて、まもなく事実上の「廃止」に追い込まれる可能性がきわめて高くなっています。
 贈与者(財産を渡す側)が亡くなる直前3年以内の暦年贈与は、『持ち戻し』といって相続税が課されます。
 海外ではこの持ち戻し期間は10年〜15年が一般的で、業界では日本も今後、それに合わせていくのが既定路線だと言われています。

 持ち戻し期間が10年に延ばされれば、たとえば75歳で子どもに毎年110万円ずつの暦年贈与を始め、85歳で亡くなった場合、10年分=1100万円が相続財産に組み込まれ、相続税の課税対象になってしまうわけです。



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