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中国不動産業界、苛烈な「値引き合戦」に突入へ

 中国の不動産デベロッパーにとって、毎年10~12月は年間の業績目標の達成に向けた追い込みの時期だ。

 今年9月以降、中国各地で不動産市況の冷え込みが強まっており、デベロッパー各社の「ラストスパート」は例年より苛烈な争いになるとみられている。

 不動産業界の上位100社のうち、2021年の業績目標を開示しているデベロッパーは半数弱だ。

 不動産情報サービスの克而瑞の調査によれば、そのうち約半数で年間計画に対する9月末時点の達成率が7割未満にとどまっている。

 言い換えれば、約半数のデベロッパーは、10~12月の3カ月で年間計画の3割超を販売しないと業績目標を達成できない。

 しかし市況の冷え込みで、目標達成はかなり困難と言わざるをえない。 

 「多くのデベロッパーで、今年9月の売上高は前年同月比2ケタのマイナスを記録した」。

 ある上場不動産会社の広東省広州市の販売担当者はそう話す。

 現場の営業担当者の多くは先行きを悲観しており、10~12月に前年並みの業績を確保するのは難しいと予想する。

政府の規制強化が顧客心理に冷や水

 財新記者の調べによれば、10月9日時点で23社のデベロッパーが9月の販売実績を公表済みだ。

 そのうち4割近い9社の販売額は、前年同月比3割超の大幅な落ち込みを記録した。

 「7月から9月にかけて、政府が不動産取引への規制を強化した影響が大きい。

 なかでも(不動産会社への銀行融資や個人向け住宅ローンの総量規制など)金融面の引き締めが、潜在顧客の心理に冷や水を浴びせた」。

 ある大手不動産会社の広東省深圳エリアの営業担当者は、そうため息をつく。

 そんな厳しい状況に、デベロッパー各社は身も蓋もない販売促進策で対応しようとしている。

 それは物件の「値引き販売」にほかならない。10~12月は中国全土で激しい値引き合戦が繰り広げられそうだ。

 「現在、担当エリアで20件余りの新築マンションを販売しているが、赤字にさえならなければ、原価まで値引いてよいと指示されている」

 ある上場国有デベロッパーの華南地区の営業担当者は、そう打ち明ける。

 この担当者によれば、会社にとって利益率はもはや二の次であり、「生き残ることが最優先」になっているという。





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