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#9 “外環被害住民を監視・盗撮”報道(2)~〝監視・盗撮目的なかった〟に反発の声

#8 “外環被害住民を監視・盗撮”報道(1)~施工業者“安全管理のためも礼節欠き不適切”

日本共産党機関紙「しんぶん赤旗日曜版10日・17日合併号」が報じた、東京外環道・調布市地盤補修工事現場周辺の住民への監視・盗撮疑惑。3月8日に行われた緊急レクでは、事業者側の国土交通省、東日本高速道路(NEXCO東日本)ともに「鹿島JVで事実関係を確認中」との回答に終始。住民・議員側は不十分だとして、さらなるレクを要求した。
その後、週明け3月12日の都議会で、東京都の中島高志技監が「安全管理のためも礼節欠き不適切」とする施工業者側の見解を答弁、翌13日付で、鹿島建設、東日本高速道路がそれぞれコメントを発表した。
両社のコメントの骨子はおおむね次の通り。
(東日本高速道路は「鹿島JVからの報告内容の概要」として発表)

・現場では一定の工事関係者に限定して業務連絡を目的としてグループチャットを利用。
・騒音・振動の確認や見学者の安全確保のため、必要に応じ情報を共有。監視・盗撮を目的としているものではなく、必要な行為と考えている。
・しかし、周辺住民への礼節を欠いた不適切な表現を用いて情報交換があったことを確認
・深く反省するとともにお詫びする。(鹿島建設)

弊社の東京外かく環状道路 本線トンネル(南行)東名北工事に関する報道について(鹿島建設)
調布市地盤補修工事に係る施工業者内でのグループチャットのやり取りに関する事実確認の結果について(NEXCO東日本 東京外環工事事務所)より要約

2回目のレクは、これらの発表の直後、14日に行われた。
会場の参議院議員会館には前回同様、議員や住民、報道関係者など30人ほどが集まり、事業者側からは国土交通省、東日本高速道路からそれぞれ2名が出席した。

まず、しんぶん赤旗日曜版が報じた内容についてどこまで確認できたのか。NEXCO東日本の担当者は、鹿島JVからの報告の内容として次のように回答した。

NEXCO東日本の担当者

「グループチャット内のやり取りについては、 技術的な制約によって時間がたつとデータが消去されてしまう。赤旗の質問書が届いた2月28日から180日より前についてはデータの確認はできなかった。ただ、赤旗の質問書並びに報道に記載があった、9月6日の報道内容、 記載内容とグループチャット内のやり取りが一致しているということについては、鹿島JVから報告を受けている」

記事にあるグループチャット内のやり取りとされる内容は、少なくとも去年6月から9月にわたっていて、住民やマスコミの動向、日常生活の様子、苦情や補償内容に関して住民を揶揄するもの、女性や高齢者に対するハラスメント的なものなどがあったとされている。(#8 の記事参照)
鹿島JVの調査で、報道内容と一致したとされた9月6日の内容とは、
「〇〇さん、西野橋を南下、散歩か?苦情声かけなし」
「●●さん二階から覗いてます」

この2つの書き込みだ。これが、「礼節を欠いた不適切な表現を用いた情報交換」で、「深いお詫び」の対象となった内容なのか。

吉良よし子(左)山添拓(右) 両参院議員

日本共産党 山添拓 参院議員
「この記事になってるのは2つですかね、どちらも表現的にはですね、そんなに過激じゃない。そうすると、この謝罪のペーパーっていうのは一体何について謝罪されたのかよくわからない。これは礼節の問題じゃない。プライバシー侵害だ」

NEXCO東日本の担当者
「180日以前のデータはないが、現場で働いている職員に鹿島JVの中でヒアリングをしたと聞いている。ただ、その180日というと単純に半年前になるので、詳細な記憶が残っているわけではなかった。かと言って、言ったとも、 言ってないかもしれないというところで、明確な肯定も否定もできないというようなヒアリング・・・」

〝礼節を欠いた不適切な表現〟について詳細な事実関係は確認できないものの、ヒアリングの結果、明確な否定もできないため〝深く反省しお詫び〟したとの趣旨の説明だ。

〝何があったかよくわからないけれどもお詫びだけしたのか〟
議員や住民側は「表現の問題に矮小化しようとしている」と批判。
少なくとも9月6日にあったという事実が確認された「●●さん二階から覗いてます」といった、住民の日常生活や行動に関する言及について、国土交通省の認識を質した。

山添議員
「盗撮、プライバシー侵害、侮辱。単に表現の問題ではない、場合によっては不法行為や罪に問われうるような、 そういう行動ではないかと思う。認識はいかがか」

国土交通省の担当者
「鹿島JVからの報告の中で、現場の安全管理や状況把握、現地の状況をやり取りする、というところで聞いている」

山添議員
「そうすると、現場の安全確認と称して人の家の2階の中まで覗いていいってことになる」「国土交通省としても、この一連の問題は不適切な表現の問題であって、情報共有やその前提となる 情報収集の在り方についてはおとがめなしで良いとお考えか」

国土交通省の担当者
「鹿島建設の発表でも『現場の確認等を行う、というところでやり取りをしていた。盗撮・監視といった表現になるようなもの、そういった目的のものはなかった』というところで・・・」

国土交通省の担当者

〝目的がなければ行為は認められるのか〟議員・住民側から一斉に反発の声が上がった

「それはまずい、人のうちの2階をのぞいて構わないということになる」「国土交通省は認めちゃった(肯定した)んだぞ、わかっているのか」

助け舟に入った国土交通省の別の担当者が使ったのは〝誤解〟という言葉だ。

国土交通省の担当者(2人目)
「鹿島建設も、監視・盗撮と誤解されるような行為とか、不適切な表現での情報交換、こういうのを厳に慎んで再発防止に努めているというようなことも報告の中でいただいている」


事業者側の短時間でとの要請があり、およそ1時間15分で終了した2回目のレク。事業者側の説明は事実関係の確認が乏しく具体性に欠けるとともに、「安全管理のため」「盗撮・監視目的ではない」「誤解」といった、説得力に欠ける主張が並んだ。
また、記事に「Nにまとめて報告します」「■■工事長に報告済み」といった、発注者側への通報をうかがわせる内容があったことについても、NEXCO内部の聞き取りや調査も行っていないとしている。
住民に対する謝罪の言葉は最後まで聞かれなかった。
レクの中で議員らは、現場でのグループチャットの使用の実態を明らかにするとともに、可能な限りのデータや、ヒアリング内容の開示なとを求めた。
そして今後、国会の場などでも追及していきたいとしている。
※14日のレクの動画はUPLANさんが配信中


調布市は翌15日付で、外環3事業者に対して市長名で以下の要請書を提出した。

東京外かく環状道路(関越~東名) の
地盤補修工事における対応について ( 要 請 )

東京外環について、市は、事業者に対し陥没事故等の再発防止に万全を期することはもとより地域住民の理解の促進と損なわれた信頼の回復のため丁寧に対応することを継続して求めるとともに、事業者との間に立って最大限の努力を重ねてきた。

このような中で、地盤補修工事に係る施工業者内でのグループチャットのやり取りに関する事実確認の結果、安全管理のための行為とはいえ、住民に対する礼節を欠いた表現を用いて情報交換が行われていたことは、極めて遺憾であり、強く抗議する。

陥没事故以降、地域住民には計り知れない負荷がかかっている中で、このことは住民の信頼を損なう行為と言わざるを得ない。事業者は、改めて住民の心情を理解した上でいささかも住民に疑念を生じさせることのないよう安全管理に万全を期すとともに、工事に従事する全関係者に対し指導を徹底し、住民に誠意ある対応を行うことを強く求める。

※記事は不定期で追加、更新していきます。
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