安倍前首相の“桜疑惑” 何が一番問題か

○安倍前首相の“桜疑惑“問題は、2020年12月23日現在、新聞各紙とも⓵安倍前首相に対する東京地検特捜部による任意の事情聴取が既に行われた②問題の桜を見る会の安倍後援会主催の前夜祭の費用補填は、秘書のやったことで安倍さんは不起訴、秘書が略式起訴で、罰金刑を受ける見通しなったことで一致した。

○桜疑惑が表に出てから1年あまり、何もしようとしなかった検察が捜査を始めているのことがこの11月下旬になって報じられてびっくり。どこまでやる気か、とみていると、最初から安倍さんは勘弁するという結論ありきらしい捜査で、国民は拍子抜け、というのが正直なところでしょう。

○騒がれた事件なのに、略式起訴で終わり、というのは、30年前の金丸信自民党副総裁〈当時〉の5億円闇献金事件を思い出します。実力政治家を恐れたのか、取り調べもせず、略式起訴、20万円の罰金となった事件です。しかし、あまりの刑罰の軽さに国民の怒りが爆発、検察の庁舎にペンキが投げつけられる騒ぎになりました。結局、検察は別件の捜査をして、金丸氏が政治資金を流用、18億円の個人資産を蓄財したとして逮捕し、国民の批判を受け入れた形となりました。

○桜疑惑で安倍前首相側が補填した額は東京地検特捜の調べで直近の5年間で、900万円余りといわれており、決して少ない額とは言いませんが、金丸氏で問題になった金額と比べると、二ケタ違います。だから勘弁していいことでは決してありませんが、7年余りも在職した「大宰相」を追及することと見合う事件なのかな、と首をかしげてしまいます。秘書だけ罰して前首相は勘弁すると聞いても、ペンキを投げつけるほどの怒りがわいてこないのは、この事件のあまりの卑小さのせいかもしれません。

○しかし、この事件は国民が真に怒るべき重大事件です。それは、安倍前首相が国会でこの事件をめぐって、「うそ」の答弁を重ねてきたからです。東京地検特捜部が突き止めた補填について、衆院調査局の調べでは、安倍前首相は「事務所は関与していない」「明細書はない」「差額は補填していない」という事実と異なる答弁を少なくとも118回しているということです(朝日新聞12月23日)。

○こんなにひんぱんに事実と異なるうその答弁をされたのでは、国会でまともな議論などできっこない、と思うのは私だけでしょうか。総理大臣が先頭に立って、国会の機能を壊すとは!安倍前首相がコロナ禍の最中なのに国会を休会にしたがったのは、国会でうそをつきたくないからなのかしらん、と勘繰りたくなります。

○安倍前首相はこの件について国会で説明すると約束しましたが、どういう場で説明するか与野党でもめています。野党側は虚偽の証言をすると偽証罪に問われる証人喚問などを求めています。これに対し、自民党内には非公開で行うことを求める声もあるということです。しかし、ここまで来てうそをつかれたのではたまりません。安倍さんには、国民が納得する形で、正正堂々、釈明してほしいと思います。

○検察の捜査は、罰金刑の政治資金規正法違反であっても、略式手続でなく、情報が表に出る公判請求をして欲しい、と前回のNOTE で求めておきました。しかし、検察はそうはしてくれないだろうな、と思っていましたら、郷原信郎弁護士(元東京地検特捜部検事)は、担当の簡易裁判所判事は「略式不相当」として、公判で審理すべきだ、としています(東京新聞12月23日)。郷原さんは、矢張り良いことを言う!##

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