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松井一郎(元)大阪市長と水道橋博士の大阪高裁判決後 記者会見 (令和5年12月21日)

大阪高等裁判所第4民事部
令和5年(ネ)第1410号 損害賠償請求控訴事件
(原審・大阪地方裁判所令和4年(ワ)第2666号)

裁判長裁判官 阪本勝
裁判官 遠藤俊郎
裁判官 大島道代

原告 松井一郎 
原告弁護人 坂井良和希代竜彦山岸克也
原告人代理人弁護士 坂本尚之

被告 水道橋博士 
被告弁護人 佃克彦米山隆一


‘22年2月13日、水道橋博士が『あつまれニュースの森』というYouTube動画を貼り付け、《これは下調べが凄いですね。知らなかったことが多いです。維新の人たち&支持者は事実でないなら今すぐ訴えるべきだと思いますよ (笑)》と、コメントを付けツイートした。
貼り付けられた動画のサムネイルには、「パワハラ」「傷害事件」「裏口入学」「強姦疑惑」の文字。その中の「強姦疑惑」が強姦をした疑いが疑いがあるという事実を適示するもので、名誉を毀損するものとして、松井一郎氏が、損害賠償請求起訴事件として、損害賠償金550万円及びこれに対する令和4年2月13日(不法行為の日)から支払い済みまで民法所定の年3%の割合による遅延損害金の支払いを求め、水道橋博士を起訴した事案。

‘22年2月13日 7:08水道橋博士ツイート /   21:02 松井一郎氏コメントをツイート

‘23年5月30日。第一審の大阪地裁では、水道橋博士に損害賠償金110万円及びこれに対する令和4年2月13日から支払済みまで年3%の割合による遅延損害金の支払いを求める判決で棄却。

それぞれ敗訴部分を不服とする一審原告(松井一郎)及び一審被告(水道橋博士)が各控訴を提起した。

同年12月21日。第二審大阪高裁でも、第一審と同様、水道橋博士に損害賠償金110万円(慰謝料100万円及び弁護士費用10万円)及びこれに対する令和4年2月13日から支払い済みまで年3%の割合による遅延賠償金の支払いを求める判決で棄却。

午後1時15分。ぼくは、第二審大阪高裁での判決を傍聴。法廷に、松井一郎氏・原告側の弁護士も欠席だった。
午後2時30分。記者クラブでの記者会見に申請を出し、フリーの記者として、参加させてもらうことができた。松井一郎氏とその弁護人は、記者会見の場がなかったため、水道橋博士側の記録のみとなる。

【大阪市内 記者会見】

【質疑応答】

川中
▶︎強いものが勝つという構図になっていることは、問題だと思っています。司法は、弱いものの味方であるべきだと思うのですが、この点についてどう思われますか

水道橋博士 ぼくも常にそう言っています。
維新の橋下さん、吉村さん、若い頃なんかは弁護士をやってるけれども、いわゆるスラップ訴訟の企業側の弁護士であったっていうこと自体も、政治家としての資質として疑っています。弁護士の資格を得て、自分は強いもの側に着くって、若い頃から志がそっちにいる人なんだっていうことに関して、これはもう、僕の所感ですけれど、そんな人が政治をやるんだ。書籍を含めてね、酷いもんですよ。どれほど正義感のない人が、政治家をやってるんだってことに関しては、僕の本の中でも総括しています。僕は、降板事件っていうのを、橋下徹さんと共演番組でやったんです。それに関して、どういう理由であったかというのも書いているし、大阪のテレビ局がプロパガンダ放送になってるっていう問題も書きました。
去年の5月30日にも、大阪で記者会見しましたけれど、この裁判自体の話を元々の中身で記事にしてくれたのは、しんぶん赤旗と東京新聞だけなんですよ。それ以前に、それはなぜかっていうと、大阪のメディアはこういうことを無視するんだなっていうのは、僕の印象です。なぜならば、与党である維新とメディアが、外部から見れば結託しているように見えるし、それを大阪の人たちが気が付かないっていうこと自体が、もう多くの人に指摘されてからですよ。維新の3人を正月番組に出すとか、MBSだって異常な事態が起きても、自社の中からその反省ができないような体制になっている。外部から言われてなるほどっていう風になること自体もおかしいです。記者の人たちは、どう思っているのか聞きたいです。末端だから、意見が言えないのか。
5月30日に記者会見をやり、個別の写真を撮りました。読売新聞デジタルに記載された僕の写真。写真を撮ったにも関わらず、あえてものすごく顔色の悪い写真をつけて流すっていうね。そういう悪意なんですか。マンツーマンでやって、写真を撮っているんですよ。撮ってても、誰がその写真を入れ替えて印象操作をやってるんですか。聞きたいですね。その責任者。カメラマンが来て撮りましたよ。だから、読売新聞と維新は連携協定でしたっけ、やりましたよね。その直後です。でも、そういう露骨なことやります?会社として、それを命じた人がいるわけじゃないですか、写真はこれを使えと。それは、悪意でしかないんですよ。
市庁舎の中の記者会見、ぶら下がりでね、松井一郎市長が以前《政治家は文句を言われてなんぼのもんや。いちいち訴えるもんじゃない》というようなことを発言していたのに、《なぜ水道橋博士を訴えるんですか》って及川さんっていうフリーの記者に聞かれて、《僕は会見答えてるやん。水道橋博士がジャーナリストやったらええやん。それで質問したらええやん》って言いましたよ。だから僕、行きましたよ。ジャーナリストの腕章つけて。それ、どうなったと思います?会見中止しましたよ。急遽中止。これは、開かれてます? 僕は、殴ったりします?そんなところで、するわけないでしょ。参議院議員選挙のときにも、松井さんとたまたま場所が一緒になり、一番前まで行って、質問のある人で手を挙げましたよ。そのまま逃げました。

川中▶︎佃弁護士にお聞きします。結論が正義に反しているのに、このような結果になるのは珍しいことなのでしょうか?

佃弁護士 たまにあるんじゃないですかね。

水道橋博士 先生の経験上、こんなことは何10年に、、、、

佃弁護士 そうですね。私、30年やっていますけども、3本の指に入るおかしい判決。ちょっと、もう本当、立ち直れないぐらいひどい。立ち直りますけどね。

水道橋博士 メディアの人にも聞きたいんですけど、、、強いものは勝つって言ったな、今、

川中 はい

水道橋博士 強いものが勝つっていうような、そういう、、、。僕が言いたかったのは、ジャーナリストもそうじゃないですか。強いものが勝つっていう側に付かないのがジャーナリズムじゃないですか。弱いものの立場に立つのがジャーナリズムの第一義的なものじゃないですか。権力者批判っていうのはジャーナリストが持つべき使命じゃないですかって聞きたいです。僕はそう思う。

令和5年12月21日 (ネ)第1410号賠償請求訴訟事件  判決文
※黒塗り部分は、個人情報(住所)のため保護



右下、白塗りは弁護士メモのため保護


中央部、白塗りは弁護士メモのため保護


※「棄却」とは「裁判所の拒否」訴訟内容が裁判所によって退けられること。「敗訴」は「裁判で負けること」訴えた人の言い分が認められなかったこと。
裁判では、敗訴した側が、諸費用を負担することが義務付けられている。これに不服がある場合、上訴をし、裁判のやり直しを求めることができる。

裁判は、当事者同士で和解する妥協点を見つけていく作業。法による話し合いの場であるはずが、第一審、第二審と、法廷に現れることがなかった松井一郎氏。
裁判は、法廷に行かないという選択もリモートという選択も認められているが、これまでの水道橋博士の話を聞くと、一方的で対話を拒否したと捉えられてもおかしくはない。
ぼくは、松井一郎氏の演説を、何度か実際に見たことがある。政治家だけあって、魅力もあった。大阪府知事や市長として、ぼくの住む大阪を引っ張ってきた方の対応として、正直残念に思った。
松井一郎氏は、公人で影響力もある。実際に、松井一郎氏が《誹謗中傷デマは*名誉毀損の判決が出ています。言い訳理屈つけてのツイートもダメ、法的手続きします》と、水道橋博士のツイートにコメントしたことによって、松井一郎氏が名誉毀損と訴えたサムネイルを、自らが拡散に加担することになってしまった。(現在、金子吉友氏は、動画の中身はそのままでサムネイルを変更)

*名誉毀損判決・・・平成31年4月22日。大阪府知事・市長のダブル選挙の前に、埼玉県の女性が、snsで「松井一郎は過去に女子中学生を強姦し、自殺に追いやりました」と投稿。誹謗中傷されたとして、松井一郎(元)市長が女性に550万円の損害賠償を求めた裁判の判決が大阪地裁で行われた。女性は「選挙妨害目的でなく公益目的だった」と主張したが、金地裁判長は、「客観性的な裏付けがなく、立証もしていない」と認定。「政治家としての社会的評価を低下させ、精神的苦痛を与えた」と結論付け、女性に330万円の支払いを命じた。(この裁判が『あつまれニュースの森』の内容で取り扱われ、このサムネが今回の事件につながっている)

水道橋博士も佃弁護士も怒っていた。
このことが許されることにより、今後、おびえながら生きていかなければならない人がうまれるのではないかと危惧するからだ。
ジャーナリストへの叱咤激励も同じだ。

会見終了後、読売新聞記者に取材。
川中▶︎先ほど水道橋博士さんが個別に写真を撮ったにも関わらず、顔色の悪い写真を使っていたと言っていましたが、何故その写真を使ったのか分かれば教えていただけますか?

読売新聞記者 ごめんなさい。私その件把握していないので、、、。

川中▶︎会社に問い合わせをしたらわかりますか?

読売新聞記者 お問い合わせしていただいたら分かります。

水道橋博士 この方も当事者じゃないから

読売新聞記者 紙の紙面になる時に、写りが悪くならないように加工をかけたりしています。だから、顔色が悪くなってしまったのかもしれない。

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阪本勝裁判長裁判官・・・卒業式で君が代を起立斉唱しなかったとして、大阪市教育委員会から戒告処分を受けた元中学校教論の男性が処分の取り消しを求めた裁判が、大阪高裁(阪本勝裁判長)であり、一審の大阪地裁判決を維持して、処分の取り消し請求を棄却。「君が代」不起立裁判第二審。原告は、「君が代の起立斉唱を強制する儀式は、子どもの人権を侵害する『調教教育』だ」と主張したが、「調教教育と評価されるものでもない」として請求を棄却。

遠藤俊郎裁判官・・・環境影響評価書確定通知取消等請求控訴事件
大島道代裁判官・・・調整手当金請求事件

【原告、松井一郎氏の弁護人 】
坂井良和弁護士・・・元大阪市会議員を5期務め(東住吉区選出、’95年〜’07年自民党・’11年〜’15年大阪維新の会)、日本維新の会より参院選・比例区で出馬。弁護士法人フォーラム大阪法律事務所所属。
希代竜彦弁護士・・・弁護士法人フォーラム大阪法律事務所所属。
山岸克巳弁護士・・・弁護士法人ファーラム大阪法律事務所所属。大阪市中央区の安全配慮義務違反に強い弁護士として登録されている。

【原告、同訴訟復代理人弁護士】
坂本尚之弁護士・・・’11年4月大阪市議会議員選挙、平野区にて大阪維新の会で出馬。’23年4月八尾市議会議員選挙、八尾市選挙区にて大阪維新の会で出馬、現職の八尾市議会議員。進陽法律事務所所属。

【被告、水道橋博士の弁護人】
佃克彦弁護士・・・ジャーナリストの伊藤詩織氏が、杉田水脈(自民党衆議院議員)にTwitter上の「枕営業の失敗」「ハニートラップ」「売名行為」など、第三者の中傷投稿25件に「いいね」を押されて名誉感情を傷つけられたとして、220万円の損害賠償を求めた訴訟。一審・東京地裁判決では、Twitter上の「いいね」は「必ずしも内容への好意的・肯定的な感情を示すものではない」と指摘。ブックマークなどの目的で使用されることもあり、「感情の対象や程度は特定できず、非常に中傷的、多義的な表現行為にとどまる」として伊藤氏の請求を棄却した。二審・東京高裁(石井浩裁判長)は、衆院議員で多数のフォロワーがいる杉田議員の影響力は大きく、多くの中傷投稿に「いいね」を押したことは名誉毀損の侵害になると一審判決を変更し、杉田氏に55万円の支払いを命じた。佃法律事務所所属。

米山隆一弁護士・・・’05年衆議院選挙、新潟県第5区より自民党で出馬。’12年衆議院選挙、新潟県第5区より日本維新の会で出馬。’13年参議院選挙、新潟県選挙区より日本維新の会で出馬。’16年〜’18年まで新潟県知事(無所属)。東京電力柏崎刈羽原発再稼働に慎重な姿勢を貫いたが、一年半で「女性問題」をめぐり知事を辞職。’19年、ツイッターで、大阪府立高での頭髪指導訴訟で府立高の責任者を「維新の松井さん」とし「異論を出したものをたたきつぶし党への恭順を誓わせてその従順さに満足する」と投稿。名誉を損なわれたとして、大阪府の松井一郎前知事が、米山隆一前知事に550万円の損害賠償を求めた訴訟を大阪高裁で和解が成立。 弁護士法人おおたか総合法律事務所所属。


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