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省エネ法の改正

 今回は、特に省エネ法改正との関係についてお話しします。企業はカーボンニュートラル達成のために、再生可能エネルギー導入を真剣に検討する時期が来ています。 

1. CO₂排出量算定

まずは、自社のCO₂排出量の算定についてです。企業の敷地内で発生しているCO₂排出量は、日本商工会議所が無料で提供している「CO₂チェックシート」を使用して算出できます。
参照:日本商工会議所「CO₂チェックシート」

自動計算してくれるのでとても便利です。中でも、0.5CO₂-kg/kWhという数字は覚えておくと良いでしょう。1kWhの電力を使用すると、0.5KgのCO₂が排出量されるという感覚を身につけていただきたいです。
もちろん、実際の排出係数は、電力会社ごとに異なり、しかも毎年変動するので、あくまで感覚的に覚えるための数字です。

2.省エネ法で求められているエネルギー消費原単位向上

カーボンニュートラル達成のために、企業として最初に取り組むべきなのが省エネでしょう。その省エネではCO₂排出量削減ではなく、エネルギー消費原単位の向上が求められているということが大事です。

電気であろうが、ガスであろうが、石油であろうが、いわゆる化石燃料を使っている場合は、KL(キロリットル)という共通のエネルギー使用量(原油換算エネルギー使用量と言う)に換算します。
企業が使用するエネルギー量の計算は、経済産業省資源エネルギー庁のHPより自動的に算出できます。
参照:エネルギー消費量(原油換算値)簡易計算法

電気を例にとると、エネルギー熱量換算係数:8.64MJ/kWhという数字を覚えておくと良いでしょう。1kWhの電力を使用すると、8.64MJのエネルギーを使うことになります。
さらに、原油換算係数:0.0258kL/GJも頭にいれておきましょう。1GJ(ギガギュール。MJの1000倍)は、0.0258KLの原油に相当します。

ただし、省エネ法ではエネルギーの絶対使用量を減らすことが求めてられているのではありません。
図表1にあるように、5年間の原単位(この事業所の床面積㎡当たりのエネルギー使用量)の変化(4回)の平均値を1%以上削減することが求められています。簡単に言うと、オフィスの面積が2倍になってもエネルギーの使用量が1.95倍であれば、省エネの義務を果たしていることになります。
生産性を向上させるために新規の設備投資を行うと、ほとんどの設備や機械は省エネ型なので新規導入すれば省エネが可能です。国や自治体のエネルギー補助金を活用して、省エネ設備を導入していくことをお勧めします。

図表1

3.改正省エネ法で求められる再生可能エネルギー比率の向上

改正省エネ法が、昨年度(令和5年の4月から)施行されています。
実は、我が国では、CNを企業に義務づけたCN法のような法律は施行されていません。しかし、令和5年度より使用電力に占める非化石電力(再生可能エネルギーなど)の割合向上を目標に掲げることが努力義務となりました。特に、自動車アッセンブリー企業は2030年度までに59%達成の目標が目安となっています。
省エネ法は、カーボンニュートラルのために、省エネだけではなく再生可能エネルギーの導入を求めているのです。

 加えて、我が国は世界発のGX(グリーントランスフォーメーション)経済移行債という国債を発行し、企業によるCNの新技術開発に20兆円の支援をすることになりました。このGXは、CNというリスクをビジネスチャンスに替えて、我が国の産業構造を化石燃料に依存しないものに根本的に変えることを目指しています。

次回からは、こうした新しい動きも含めて、企業での実践例など紹介します。

(執筆者:中産連 主席コンサルタント エネルギー管理士 梶川)
自動車部品製造業・産業機械製造業・廃棄物処理業を中心に、温室効果ガス排出量算定・削減、省エネ診断、環境法令順守コンサルティングを行っています。

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