祖父が眠りについた

祖父が眠りについた。

88歳だった。

退院したら話したい事があった。

相談したい事があった。

あと2年で卒寿だね、ひ孫の小学校入学が見れるよって話すつもりだった。


僕が2歳ぐらいの頃、親が離婚した。
そこから小学校にあがるまでの間、母方の実家で暮らしていた。
母、僕、祖母、祖父の4人で暮らしていた。

物心ついたころには祖父が父親の代わりだった。
出張でよく家を空けていた気もするが、帰ってくるとお土産に甘い物や名物品、お菓子をたくさん買ってくる人だった。
子供の僕が食べられないような物もあったが、そういう時は果物を後から買ってきて穴埋めをしていた。

叱られた記憶はほとんどない。
甘やかされて育ったと思う。
父親代わりではあったが、やはり祖父なのだ。
孫が可愛かったのだろう。
祖父の子供は娘が二人だったから、男孫が可愛かったのもあるのかもしれない。

結婚式にも呼べた。

ひ孫も2人、抱っこさせてあげる事が出来た。

一番年上の孫として出来る限りの事は出来たのでは無いだろうか。

自己満足かも知れない。

自己陶酔かも知れない。

7月に入院してからは、面会禁止だったから顔を見に行くことも出来なかった。

息を引き取る際も、そばには居てあげられなかったし、
葬式の最中に親戚の回収や買い物などに奔走し席を外すことも多かったから線香も絶え絶えだった。

あまり出来の良い孫ではなかったかも知れない。

恩を返し切れていなかったと思う。

それでも故人を偲ばずにはいられない。


ゆっくり休んで、美味しい物を食べてほしい。

糖尿病からも解放されたのだから、好きだった餡子のお菓子などを腹いっぱい食べてもらいたい。

スイカやメロンなどの果物も食べてほしい。

極楽浄土と言うぐらいだから、きっと食べ物も飲み物も美味しい物があるだろう。

49日が終わってからになるだろうけど。

お疲れ様。

お休みなさい。

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