「L O V E中央」4年 山本航生

「L O V E中央」　
4年 商学部 山本航生

「LOVE中央」これは今年の中央大学が掲げたスローガンである。

中央大学を愛し、中央大学のために闘い、行動していこうという意味であるが、4年間を終えた今、ほんとにこの言葉が大好きである。

下級生時の自分に中大のために闘う気持ちは一切なかった。

高校までとは違い、大学はプロになる最後チャンスだと思っていて、自分がプロになれればチームが勝てなくてもそれで良いと思っていた。

今でこそ、そんな奴が成長していけるわけがないと思うが、当時は何がダメなのかわからずもがき苦しんでいた。

同期のかつや（4年・栗山且椰）が関東リーグでハットトリックした瞬間に悔しさのあまり試合を見ていたパソコンを閉じた。

中学や高校の昔の仲間たちが他大学や選抜で活躍しているのをTwitterで見るたびにBチームのベンチ外である自分の状況と比較して、落ち込んだ。

高校から一緒の直樹（4年・加納直樹）が徐々にチームの主力になっていくのを手にマメを作りながら太鼓を叩き、応援することしかできなかった。

俺は太鼓を叩きに中大に来たわけじゃないだろ。など、色々と考え事しながらの寮から実家まで原付に乗る1時間はあっという間であった。

思い描いていた理想と現実がどんどん離れていき、少しずつ迫るタイムリミットに焦りながら、サッカーしてなかったら、中大を選んでいなかったらどんなに楽なんだろうと考えることも多くなった。

そんな中、私は3年のシーズンが終わったタイミングで就職活動を始めた。

この時点でプロを諦めたわけではなかったが、当時の状況を考えると心配性の私はサッカーだけをしていくという判断はできなかったのだと思う。

しかし結果的に、就職活動を通して見えてきたものが私の中大での最後の1年間に大きな影響を与えてくれた。

就活で自分の人生を振り返りながら行う自己分析というものがあるのだが、そこでサッカー人生において印象に残っている出来事を考えると、全て仲間とともに、大きな目標を達成したことであった。

それに比べると個人で頑張ってきた選抜などの活動のことはちっぽけなものだった。

自分中心で考えている時期のことはほとんど思い出せなかったし、良い思い出は一つもない。

中大における真の存在意義がこの就職活動を通して見えてきたし、最後の1年間でやるべき事がやっと明確になった。

そして4年生として最後のシーズンが始まった。

練習中には直樹、篤生（3年・大野篤生）の次くらいには大きな声を出し、ピッチ外でも積極的に下級生とコミュニケーションを取る事で組織の潤滑油のような役割を担った。

試合ではチームのために体を投げ出し、がむしゃらにボールを追いかける、自分のことしか考えてなかったときには絶対にできなかったプレーである。

正直、がんばるマンみたいなタイプの選手を好きではなかったが、中大のためや悔しい思いをしながらも大声援を送ってくれる仲間たちを思うと自然と体がそう動くようになった。

いつの間にか、自分には合ってないなと思っていた「かき回せ航生〜♪」という応援歌もしっくりくるようになった。

そして引退まで残り1ヶ月となった時、残留を争う国士舘大学との大一番で初のスタメン出場のチャンスが回ってきた。

前半12分、私は4年目でついに関東リーグ初ゴールを決め、チームの勝利に貢献する事ができた。

この１ゴールを決めるまで、とにかく長く、苦しかった。
周りから見ればただの１ゴールかもしれないが、私にとってこのゴールは折れそうになった時も諦めず、自分なりに考えた「L O V E中央」を体現し、ピッチで活躍する姿を想像し続けたことで得ることのできた人生No. 1ゴールである。

中央大学にきて良かった。4年間を終えた今、心の底からそう思える。苦しい時期も長かったが、それがあったから多くのことに気付く事ができたし、人として何倍にも成長する事ができたと感じている。

ほんとに中大で中大ファミリーみんなとサッカーができて幸せでした。ありがとう。

「L O V E中央」

最後に少しばかりメッセージを。

「同期のみんなへ」
みんなと一緒にサッカーをしている時間もグランドや寮でたわいもない話をしている時間も全部大好きでした。この4年間を乗り越える事ができたのは間違いなくみんながいてくれたおかげです。これから様々なステージに進むけど、プロの奴らの試合をみんなで見に行って試合後に飲んだり、適当にまた集まりましょう。呼んだらきてね。

「後輩たちへ」
学年関係なく、意見を言い合う事ができる関係がとても好きでした。勝てない苦しい時期を経験できたことは来年に向けてとてもいい経験だと思うので、篤生中心に良いチームになることを期待しています。苦しいことはたくさんあると思いますが、自分が活躍する姿をイメージすることをやめずに中大のために戦い続けてください。

「両親へ」
最後まで、自分の１番のサポーターをしてくれてありがとう。強い期待がプレッシャーになることはあったけど、最後まで試合に出る姿を待ち望んでくれてたからこそ、最後まで諦めず、関東リーグでのゴールを決める事ができました。小学1年生の頃、サッカーに出会わせてくれてありがとう、どんなに苦しい時期でも変わらず応援し続けてくれて、何不自由なくサッカーを続けさせてくれてありがとう。これからは金銭的な面で恩返しすることを誓います。

◇山本航生（やまもとこうき）◇
学年：4年
ポジション：FW
前所属：國學院大学久我山高校