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The Lunchbox

2013年公開のヒンディー語映画で、日本では「めぐり逢わせのお弁当」というタイトルで公開されている。主演にはハリウッドでも活躍していたイルファン・カーンが務めた。

あらすじ

ムンバイにはダッバーワーラーという自宅からオフィスにお弁当を毎日届けてくれる人々がいる。イラは中流階級の専業主婦で、夫との関係性に悩んでいた。夫の愛を取り戻すために生活に何かスパイスを加えたいた考え、日々気合いを入れて料理をするようになった。インド人は気に入らないと平気で残したりするので空っぽで帰ってくると嬉しいようである。仕事から帰ってきた旦那に弁当の出来を聞くが、身に覚えのない料理の感想を口にする。ダッバーワーラーが間違えて配達してしまったのだ。不審に思ったイラは弁当に手紙を入れるようになり、顔も知らないサージャンと文通をするようになる。徐々に心を開いていく二人。お互いに悩み、過去の話、嬉しかったことを打ち明けていく。

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物語の鍵「ダッバーワーラー」

ダッバーワーラーはインドのムンバイを中心に弁当配達を職業とする人たちのこと。100年以上の歴史をもち、毎日20万人分の弁当をクライアントの家から受け取り、目的地へ配達していく。およそ5000人の人々がこの配達に関わっており、主に自転車で各クライアントの家を回って弁当を回収し、電車を利用して目的地へ間違えることなく配達している。この単純な流通システムは様々な大学の研究材料となっており、ハーバード大学によっても研究された。

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文通だからこそ伝えられること

今の時代にはあまり手紙を送る習慣はなくなってしまった。しかしこの作品ではあえてメールやメッセージングアプリではなく「手書きの手紙」でコミュニケーションをしていくところに良さが出ている。一日一往復のコミュニケーション。勿論最初は知らない人に警戒していくかもしれないが、お互いを知らないからこそ伝えられないことを打ち明けられることもある。イラは夫婦関係に悩んでいた。そしてサージャンは妻を亡くし孤独を感じていた。そうした二人がお互いに打ち明け、理解していくことで信頼していくようになる。とても美しい映画。

キーメッセージ

この作品の重要なポイントはダッバーワーラーが間違えて弁当を配達してしまったことから始まり、イラとサージャンが欲していた「何か」を得るところである。この世界は思うようにいかないことがとても多いが、時には予想もしなかったことから事態が好転したりもする。まさにこの映画の物語のように。作品の中である男性がブータンの電車の話をサージャンにする有名なセリフがある。

"Sometimes the wrong train takes you to the right destination"
時には違う電車が自分の目的地に着いたりする。

予告編ビデオ


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