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小説

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#学校

手帳

 「過度に華美でない靴下」とは「紺を基調とした、ワンポイント以上の柄のついていない膝下丈の靴下」のことを言うのだと知ったのは、並木の花も落ちきって、坂の麓から学堂までの一本道をすっかり枯茶色に染めてしまった頃のことで、四月の幼い雨に汚れた地面に立ってなお凜と穢れを知らないそぶりで笑っていたその人が都美子先輩でした。  都美子先輩は、当時まだお転婆な一年生だった私の、はねっ返りの泥の乾いた足元をちらと見ると、先生方のように無粋な指摘をするわけでもなく、かといって他の先輩たちの

わたしたちの道徳

 私たちは平等に二十点のノルマを課された。期限は一週間だという。  手元のタブレットにデータが配られた。募金運動のしくみやたいせつさは、先生ではなく、動画のお姉さんが教えてくれた。正直、動画を見たって細かいしくみは理解できなかった。ただ私たちがマークを集めて提出すれば、世の中に、なにかよいことが起こるらしい。今はそれで十分だと先生が言った。先生が言うのだから、たぶんきっとそうなのだろう。私は考えるのを止めて一覧表を眺める。何の商品に何点のマークがついているかの一覧だ。  マ