【通年企画】50音ノベルゲームレビュー金色ラブリッチェ

作品データ

  • 作品名:金色ラブリッチェ

  • ブランド:SAGAPLANETS

  • 発売日:2017/12/29

  • ディレクター:kuro

  • 原画:ほんたにかなえ,とらのすけ,有末つかさ,長浜めぐみ,ひさまくまこ,ぴこぴこぐらむ(SD原画)

  • ライター:さかき傘,にっし~(サブ)

  • BGM作曲: 樋口秀樹,水月陵(KIYO),松本慎一郎,Arte Refact

  • 声優:猫村ゆき,あじ秋刀魚,遥そら,土屋粘,小鳥居夕花

私立ノーブル学園。
そこは未来の紳士淑女を作る場所。
教養だけでなく、品格を学ぶための全寮制の学園である。

とくに今年は、さる北欧の小国より王族を招いたとかで、
学園は例年にない緊迫感を帯びていた。

主人公、市松央路が思いがけないことからお姫様に気に入られ、
学園に叩きこまれたのはそんなとき。
寮の空き部屋の関係で、女子寮の端に押し込まれたのはそんなときだった……。

http://sagaplanets.product.co.jp/works/kinkoi/

評価データ

  • C(キャラクター要素)5点
    個性豊かなキャラクターが最大の売り。ただし媚びるような魅力ではなく、一本筋が通ったような信念をそれぞれが持っている。

  • R(関係性要素)4点
    幼馴染の3人を軸にしてその3人それぞれの関係性の描写も非常に秀逸。

  • S(世界観要素)1点
    世界観についてはご都合主義のための舞台となっている部分があり、さほど魅力的ではない。

  • G(脚本・展開要素)2点
    割とご都合主義。そもそもこの状況が出来上がることがありえねえ!という印象が強い。

  • H(エロ)2点
    1シーンずつはいいのだが何故そこまで尻にこだわる。

  • E(演出力)4点
    展開自体は凡庸で世界観も特段魅力的ではない、それでも良く見えるのは勝負のシーンでの音楽やCGの使い方といった演出部分の強さによるもの。

戯言

ということでメジャーどころです。Twitterで何故か新人エロゲーマーが大体やってる気がします、そんな「き」の作品が金色ラブリッチェです。SAGAPLANETSと言えば四季シリーズと言われ続け、その後の作品がずっと比較され続けて、段々と衰退しつつあったサガプラが一気に息を吹き返したのが今作、売れに売れた結果ものすごく久しぶりにのFD作品が出たでもあります。とはいえヒロイン全員が金髪というキャラクター特化のゲームにあるまじき属性特化ゲー、公式からさえもネタにされるほどの狂気と不安に満ちていたにもかかわらず、大成功を収めた本作を紹介していきます!
物語の始まりは突然に、学校をやめてプラプラしてたら見つけた困っていたお姫様を助けて走り出したら金持ち用のエリート学園に入学させられます。なんというご都合主義、物語の始まりは突然にとは言いますここまでだと一周回ってそういうものかと呑み込めてしまいます。そして入れられたのが女子寮……いやねえだろ……と言いたいですが「あ」の時に取り扱ったアチ恋でもあったしまあたまにはあるのでしょう。そしてそんな学園の中で過ごしていき、出会った不良生徒やお姫様との日常を楽しみ、過去に向き合いながら物語は進んでく……というのが大筋でなんとこの不良生徒とお姫様、幼馴染だったのです。いや流石に無理がある。同じ地域に住んでたら確かにあり得るかもしれねえが、お姫様まで来ちゃうのはねえよ流石に。といった感じで展開と舞台の整われ方はかなりご都合主義、舞台は奇跡のような出来事と天文学的な確率を切り抜けて整われていきます。その中で最初は拒絶されていた主人公が少しずつ学校と女子寮に受け入れられるところまでが共通ルート、その後はヒロインを選ぶという形で個別ルートに入っていきます。
さて本作魅力的なヒロインが多いです。その中でもトップ2に君臨するのは間違いなくシルヴィア・ル・クルスクラウンソルティレージュ・シスア(以下シルヴィ)と僧間理亜、この二人が上述のお姫様と不良生徒になります。2人は幼い頃に主人公の央路とキャンプで知り合い、友人になっています。そんな2人は勿論この作品のメインとなっていき、この作品における「金色」の意味を言葉と行動で示していきます。そしてそれをしていくのはこの2人だけではありません。メインヒロイン格として提示されている妃玲奈エロイナ・ディ・カバリェロ・イスタの2人もその一員です。ただルート内で語られるのはそれぞれ央路とシルヴィの過去や矜持のお話がメインになっており、話全体で見て見ると補完という形になってしまっています。そしてシルヴィに関しては理想通りに進んで結ばれるお姫様との恋愛、結ばれるための努力とほんの少しの偶然をすることでシルヴィと結ばれていく物語です。正直ここもご都合主義は気になるところ、このように話の展開としては結構甘いところがあるのが今作です。この部分がキャラゲーだと言われやすい理由なのかもしれません。実際キャラ自体はかなり可愛いですしキャラクターとの恋愛という意味でも間違いなく良作の域にある作品です。ですがそれだけで四季シリーズの幻影を吹き飛ばせるわけではないのです。そんなシナリオが描かれるのが僧間理亜、彼女の「GOLDEN TIME」という物語です。

ここから始まる本当の金色ラブリッチェ

ここから理亜の真実と「金色」を突き通す物語が始まっていきます。ゴールデンタイム、この作品では一番輝いている瞬間としてそんな中を必死に駆け抜けていく理亜が描かれていきます。速攻でわかることなのでネタバレしてしまうとこの理亜、マリアビショップという名前で歌姫をやっていて世界で活躍しています。そんな彼女の秘密、それは歌姫であることではなく彼女自身の寿命のことです。幼少の頃から不治の病に侵され、生きることも難しい状況だった彼女がどうして頑張ってこれたのか、そしてその結末までの道のりが丁寧に丁寧に描かれていきます。ここの中で描かれる3人の描写の丁寧さが本作の最大の魅力と言い切ってもいいでしょう。幼馴染としてわかり合っているからこそ言葉にしない部分、地の文での描写や演出の数々で更に印象を強くしていきます。そんな彼女との物語の終わりは自分の目で見てみるのが一番と思いますので多くは語りません。

ここから始まる物語が本当に輝いていた

そして面白いのがこのルートを終えてみるとシルヴィルートへの見方が大きく変わっていきます。これは理亜が望んだ夢のような物語だったことが理解できる構成となっており、2周で2度おいしいようになっています。その他にもいろんなギミックが仕込まれているのでぜひもう一度やってみましょう。
この作品、評価されているルートは間違いなく理亜のルートです。それでもメインヒロインであるのは誰かと問われたら間違いなく私はシルヴィだと答えます。彼女が揺らぐことなく最初から最後までメインヒロインとして君臨し、強い姿を見せ続けたことが大きな要素でした。この辺も含めてキャラクター特化の作品であり、所謂キャラゲーと呼ばれる由縁なのかもしれません。ただ毎度思うんですよね、キャラゲーってなんだっけ?と。確かにヒロインの魅力を最大限に活かした作品ではあります。それでも3人とそれを取り巻く友人達の関係性、それを描写していくための丁寧な描写は間違いなくシナリオに特化していないと描き切れないものです。ならばシナリオゲーとも呼べるのではないでしょうか。この作品はこの辺の論争が絶えない作品です。実際のところどうなのでしょうね。なので毎回私はこう言ってます。このゲームは関係性のシナリオゲーだと。ご都合主義にまみれたキャラの魅力で戦うゲームだったとしてもそれでもキラキラと輝くシナリオはあるのだと思わせてくれたのがこの金色ラブリッチェでした。
……そしてFDが出ましたがこちらは賛否両論です。結末が悲しいと思った人は買うといいと思います。納得いっている人は読まない方がいいです。色々ご意見があったとのことで重い話からは外したとはいえ正直嫌い私は最後のシーンを台無しにされたように感じて悲しかったです。出来たらもう同じことは繰り返さないで欲しいですね。心からそう思います。

ということで「き」は金色ラブリッチェでした。実はこの作品はエロゲ復帰直後で初めて買った新品エロゲです。そのため思い入れも強く、この作品に感動したからこそいろんな作品を読んでみようと思えた部分もあったのでFDは喜び半分、悲しみ半分というのが正直な感想で、プレイした後にかなり悲しくなったことを覚えています。昨今の風潮の重い話は嫌われる傾向はなんとかならないのですかね……心からそう思います。
さてそんな次回は「く」の作品です。こちらも非常に思い出深い……なんて言葉じゃ言い表せないほどの思い出がある作品です。この作品が全ての始まり、そして元凶です。本に入る場所は一番最初から決まっていた作品の話を少しだけしたいと思います。お付き合いお願いいたします。前回のヒントはふざけすぎたので変えます。ということで次回もよろしくお願いします。

Next Hint!

もし、よろしければ… あなたを… あなたを、お連れしましょうか この町の願いが叶う場所に


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