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僕の誕生日

私事で恐縮だが、
先日無事36歳の誕生日を迎えることができた。

世の中には、不慮の事故、抗うことのできない事態のため亡くなっていく方々が大勢いらっしゃるわけで、平々凡々ながら五体満足で36歳まで生きることができたことを感謝しなくてはならない。

っと、毎年誕生日はそう思っているんだけど、今年の誕生日は手放しに喜べる感じにはならなかった。

僕の誕生日、当日、嫁が熱を出したのだ。

この日は、嫁の公休日だったため、事前に休む旨を保育園に届出してしまっているため「やっぱり行きます」ってのも言いづらい感じで、かと言って、高熱を出している嫁と乳飲み子を残して会社に行けるような感じでもない。

必然的に会社を休むこととなった。

まぁ、年末の怒涛の忙しさも去った事だし、一日くらい大丈夫だろう。
っという楽観的な読みも虚しく、こういう時に限ってバンバン携帯に緊急連絡が入ってくるもんだ。

世に言うマーフィーの法則である(ふっ、古い.......)

朝一から数ヶ月ぶりのクレーム連絡が入り対応を迫られ、本日中に提出しなくてはならない書類だの、見積もりだのが盛りだくさんだ。

その傍らでは、抱っこしろよ!っとワンワン泣き叫ぶ子供と、一つ部屋を隔ててウンウンと唸り続ける嫁……

世に言う地獄絵図である。

こんなはずじゃなかったのに……
今日は楽しい誕生日。こんなはずじゃなかったのに……

パソコンを起動して、電話片手にクレームを処理し、必要な書類やら見積もりやらをパチクリパチクリ作成。
その合間に子供をあやしながら、ミルクを作り与え、病人のためにオカユを作り、ポカリを与え、水枕を用意する。

今日は楽しい誕生日。こんなはずじゃ……

まさに怒涛の一日。
あっという間に夕方になり小学生の長男が帰ってくる。
「腹がへった」というので、ホットケーキを作って与え、家にあったツナ缶と卵で簡単なスパゲッティを作り夕食の準備。

その後、営業からメールを確認、処理し、洗濯物をたたみ、風呂の準備をする。

今日は楽しい誕生日……

『あっ!そうだ』

嫁が何かに気がつき、ゴソゴソと財布をあさり、一枚の伝票を取り出した。

『パパの誕生日ケーキ頼んどいたの忘れてた』

なにっ!?ケーキあんの!?
なんだよ~!!早く言ってくれよ~!
マヂか。嬉しい。
コレだよ。コレコレ。
コレがTHE 誕生日じゃないか~。

『ん~~、じゃ、取ってきてもらってもいい?』

『えっ........?』

おっ、オレか!?
オレが取ってくるのか?誕生日ケーキ。

オレの誕生日ケーキ、オレが取ってくるのか?

マヂか……そんなコトって……
でも、状況考えれば仕方ないか……

遅くなってもなんなので、用意をして早速、ケーキ屋さんを目指す。
早くせねば次男の風呂の時間になってしまう。

店に着くやいなや、店員にサッと伝票を手渡す。

『お待ちしておりました。少々お待ち下さいませ。』

店員が奥へ下がり、箱を持って戻ってくる。
店員は箱の側面を開け、中のものをスライドさせ、僕に言う。

『これでよろしかったでしょうか?ご確認くださいませ~』

っと、店員の手元を見ると大きなホールケーキ上部中央のチョコレートプレートに

『パパ。36歳の誕生日おめでとう!』

と書かれているのだった。

『あぁ……たぶん、大丈夫だと思います……』

と返し、ケーキを受け取り店を出る。

それが、オレの36歳の誕生日の出来事だ……

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