[第31回]ステイルメイト? それでもその先へ!
山田和範 やまだ かずのり
中村記念病院薬剤部係長/北海道科学大学客員教授
(初出:J-IDEO Vol.8 No.2 2024年3月 刊行)
医師A 「昨夜,夜間救急センターから搬送された患者さん,今朝になっても発熱が続いていて咳と痰の症状が出てきたようです.血液培養と喀痰培養をオーダーしました.喀痰のグラム染色所見からおすすめの抗菌薬がありましたらよろしくお願いします」
薬剤師 「肺炎ですか?」
医師A 「実は,夜間救急センターでは髄膜炎を疑われて救急搬送されてきました.当院到着後,腰椎穿刺したのですが,細胞数は上がっていなくて髄膜炎は否定的だったので,入院後からまだ抗菌薬は開始していません.胸部単純X線では肺野に浸潤影がなさそうに見えたのですが,胸部CTで左肺下葉上区に浸潤影が認められました」
薬剤師 「そうですか.喀痰のグラム染色所見と患者さんの様子を確認した上で抗菌薬の提案を含め報告したいと思います」
医師A 「今日は当直明けなのでこれから退勤しますが,抗菌薬が必要そうでしたらB先生に連絡して処方してもらってください」
薬剤師 「承知しました」
喀痰のグラム染色結果が判明する前に診療録および各種検査結果を確認し,ベッドサイドにうかがいました.