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呼吸器感染症よもやま話(28)

[第28回]ついに実現,吸入アミカシン

倉原 優 くらはら ゆう
国立病院機構近畿中央呼吸器センター内科

(初出:J-IDEO Vol.5 No.5 2021年9月 刊行)

増加する肺非結核性抗酸菌症

 結核はついに低まん延化のきざしがみえてきましたが,非結核性抗酸菌症はじわじわと増えており,こちらのほうが呼吸器感染症診療で問題になりつつあります.日本では,非結核性抗酸菌症・結核比と結核罹患率の積から罹患率を推定する手法がとられていますが,2014年の調査では非結核性抗酸菌症の罹患率が結核のそれを超えたことが明らかになっています[図1].医療の進歩により早期発見が増えて,見かけの罹患率が増えている可能性もありますが,呼吸器内科外来でも多くなったなあと感じます.一昔前はまれな感染症という位置づけだったのですが,今では外来で1日10人はもはやザラです.

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