呼吸器感染症よもやま話(23)
[第23回]非結核性抗酸菌症患者への生物学的製剤はダメ?
倉原 優 くらはら ゆう
国立病院機構近畿中央呼吸器センター内科
(初出:J-IDEO Vol.4 No.6 2020年11月 刊行)
関節リウマチ患者さんの困った事情
当院には関節リウマチ(RA)患者さんで間質性肺疾患が出現した方が多数通院されています.そのなかには,他院で生物学的製剤を使用されている患者さんも多い.そういう集団を診ていると,どうしてもこういった症例が出てきます.
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68歳女性.RAに対して1年間メトトレキサート(MTX)とゴリムマブなどが使用されている.肺に陰影があるとのことで紹介された.RA関連間質性肺疾患(RA-ILD)が軽度みられるが,右中葉に粒状影・結節が観察されている.結核菌のインターフェロンγ遊離アッセイ(IGRA)は陰性だったが,Mycobacterium avium complex(MAC)抗体が陽性で,喀痰からも同菌が培養で2回検出された.RAの活動性が高く,生物学的製剤による治療継続を本人は希望している.
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