微生物検査危機一髪(41)
[第41回]ASTに必要な微生物検査技師の知識
その1:血液培養陽性をどのように考えたらよいのか
山本 剛 やまもと ごう
大阪大学感染症総合教育研究拠点(CiDER)
大阪大学医学部附属病院感染制御部
血液培養検査は菌血症・敗血症の診断に欠かすことができない検査です.特に微生物の確認ができると感染症のフォーカスが特定できることがあり,より適切な治療が施されることになります.原因微生物の特定ができないまま治療をすることは予後不良の原因の一つとなるため,原因微生物の特定は重要です.また,血液培養は採取条件が悪いと皮膚に付着している微生物がコンタミネーションを起こし,原因微生物と勘違いして治療してしまうことがあります.血管留置カテーテル感染症などデバイス留置のある患者では,皮膚の常在菌が原因微生物となる機会が増えます.そうすると感染症の診断が難しくなり,適切な治療ができないことが問題になります.今回は,血液培養陽性の結果をどう考えて報告していけばよいのか考えていきます.
1.血液培養陽性例の臨床的意義づけ
医師に血液培養陽性と報告するときに何をどう伝えるのか悩まないでしょうか.大事なことは血液から微生物が検出されたという情報で,無菌検体から微生物が検出されたことは一大事です.そもそも,患者の病態として血液培養を採取するくらいの状況なので感染症であることを認知する瞬間です.
1)まず何を伝えるのか
❶いつ採取した血液培養で陽性になったのか伝える
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