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呼吸器感染症よもやま話(32)

第32回外国人結核を減らす取り組みを!

倉原 優 くらはら ゆう
国立病院機構近畿中央呼吸器センター内科

(初出:J-IDEO Vol.6 No.3 2022年5月 刊行)

増える外国人結核

私が普段外来をしていると,毎週必ずといっていいほど,外国人の患者さんがいます.その多くが結核あるいは潜在性結核感染です.ベトナム,フィリピンから技術研修に来ている若者,インド料理店勤務のネパール人などが多い印象です.
 日本において,人口10万人あたりの結核罹患率は年々減少しており,来年には低まん延国の仲間入りを果たす予定です(コロナ禍で受診控えがあり,新規診断例が押し下げられている可能性もありますが……).そのなかで,外国人の結核患者さんは増加傾向にあります.新登録結核患者のうち,11.1%が外国人とされており,ほとんどが20~29歳の若者です[図1]【1】.特に周囲に感染させる可能性が高い塗抹陽性例が増加していて,言語障壁のため,症状が出てしばらく経過してから受診する例も少なくありません.

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