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Dr.岸田の 感染症コンサルタントの挑戦(6)

Dr.岸田の 感染症コンサルタントの挑戦(6)
第6回 具体的な介入 ④
職員への感染症教育
岸田直樹 きしだ なおき
感染症コンサルタント
北海道薬科大学客員教授


はじめに

 前回は,マイクロバイオロジーラウンドからの情報発信で,感染対策上重要な微生物が検出された場合のカルテ記載例について確認しました.血液培養陽性の介入だけではなく,感染対策上重要な微生物の情報も迅速性が重要です.感染対策の点でもその対応の遅れは,伝播の拡大など院内で治療をされている他の患者さんに大きな影響が出ます.臨床感染症に限らず感染対策も“Speed is Life. Time is Life.”の姿勢が重要です.
 さて,今回は介入のProcess 2に進みたいと思います.第3回で介入全体像をご紹介しました[図1].前回までがProcess 1「マイクロバイオロジーラウンドチームの形成とその具体的な介入」でした.やっていることの多くはAST(抗菌薬適正使用支援チーム)と似ていますが,微生物検査室からの発信が中心となっているのがこのマイクロバイオロジーラウンドの特徴です.そのような体制を築く作業と同時進行でよいのですが,Process 2は職員への感染症勉強会となります.最も良い教育の場はやはり一つ一つの感染症コンサルトや感染対策事例発生時であることは間違いありません.しかし,感染症の学びがまだまだ十分ではない現状を考えると,机上ではありますが,院内での感染症の学びの場は重要だと考えます.では,院内での感染症教育について考えてみましょう.

画像1

[図1]初期に行う具体的な介入の全体像


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