呼吸器感染症よもやま話(10)
[第10回]膿胸の胸腔ドレーンをどこから挿入するか悩む
倉原 優 くらはら ゆう
国立病院機構近畿中央胸部疾患センター内科
(初出:J-IDEO Vol.2 No.5 2018年9月 刊行)
「寝られんやないか!」
膿胸の症例を受け持つとき,結構悩みます.どの場所に胸腔ドレーンを留置するか,頭でシミュレーションしないといけないからです.「え,膿胸腔に突っ込んだらオワリじゃないの?」とよく訊かれますが,そんな簡単なものじゃない.
たとえば[図1]のように2つに分離した被包化膿胸があったとしましょう.スペースが互いに交通していない独立した膿胸なら,治療選択肢は[表1]のようになります.もちろん抗菌薬を使った状態で,のハナシですよ.
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